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光   作者: 高領 つかさ(TSUKASA・T)


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16/25

光 十五



 食後のコーヒーか、…。

 人と向き合って食事をして。

 こんな風に、会話をして食事をして、――――…。

 どれくらい振りだろう。

 ふと、手許にきたカップに入ったコーヒーに。

「…神原、―――おい、聴いてるか?」

「あ、はい、…。どうしました?」

夜景を窓の隣に、神代の呼び掛けに気付いて神原が聞き返す。

「いや、その、つまりあのな?」

云い難そうにいって、それから。

 無言で、地図をうつした画面を示す。

「これ、どっちになる?」

「―――近いですね。…ここから五分もかからないと思いますよ?いまいる処からより、病院に近いですね」

「…そうか」

真剣に画面を睨む神代に。

「…この場所が、何か?」

「―――つまり、どっちに行けばいいのか教えてくれ」

「はい、それは構いませんけど、…?」

コーヒーを飲み終えて。二人で店の外に出て、真剣に神原をみている神代に。

「こちらの方になりますね、…あの、案内しましょうか?ついでですから。近いですしね」

微笑んでいう神原を、葛藤する表情で神代が見返す。

「…タクシーは、…」

「だめでしょう。この距離だと。近すぎますよ」

「…――――」

真剣に悩む顔をして、神代が俯いて靴先をじっとみる。

「神代先生?」

「わかった、…―――案内してくれっ」

決意して、ぐっとくちを結んでいう神代に、思わずあきれて。

「随分と力が入ってますけど、…―――あの?こちらは何があるんですか?」

先に歩き出している神代の背に問い掛けると。

「いや、…だからっ」

「まってください、そっちは逆方向ですよ」

慌てて肩に手をおいて留める神原に振り向いてみあげて。

「―――――…自宅だっ」

「え?」

思わずも驚いて見返す神原に。






 夜空に聳える高層マンションに辿り着いて、エレベータを上階へといきながら、神代がいう。

「つまり、…――最近買うことになったんだよ。…」

難しい顔でいいながら、神代がいうのに、付き合って一緒に乗っている神原が不思議そうな顔になる。

「それは?」

エレベータが最上階に着いて、外に出て。真面目に悩んで足を留めている神代に、手に持っているカードキーをみて神原がいう。

「何号室ですか?」

小ホールの案内板をみて、悩んでいる神代に神原が示す。

「ほら、こっちだと思います」

「…――すまん」

辿り着いた先で、専用の廊下に入る前のドアに、神代がほっとして暗証番号を打ち込むのを傍らで眺めて。

「神原、…―――ありがとう」

中に入って、がっくりと肩を落としている神代に。つい、神代の様子が面白くて微笑んでしまいながら、部屋を見廻す。

「凄いですね、…――。でも何か、モデルルームみたいですが」

落ち着いた色調で整えられたインテリアだが、まるでモデルルームをそのまま持ってきたようにみえる室内に神原が云うと。

 鞄を椅子に置き、神代が息を吐きながらいう。

「その通り、そのまんまだ」

「…――それは?」

「神原、提案があるんだが」

極真剣に背を向けて、広がる夜景をにらみながら神代がいうのに、神原が不思議そうにみる。

「はい、何でしょう?僕はこれで、…」

「それなんだが」

くるり、と振り返って、神代が真剣にみる。

「…―――はい、あの?」

「泊っていってくれないか?正確にいうと、…――――頼むから、一緒に出勤してくれ」

「…―――はい、…え?」

驚いて見返す神原に。

切羽詰まった顔で見返す神代。





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