聖女様に違和感を覚える
オノレとユリアが結婚した。
ヒューゴはしばらく色々な意味でショックだったが、それ以上にショックなことが起こった。
なんとあの姉上が側妃になるのに同意したのだ。
あの傲慢でわがままな姉上が。
「あの姉上が…一体なにを考えているんだ…?」
姉上と王太子殿下の結婚式は質素だったが、ウェディングドレスを着た姉上は正直聖女より美しかった。
「姉上は元々美しかったが…すごいな…」
そして自分も婚約者と結婚した。
婚約者は晴れの舞台だというのにどこか悲しそうで…そんな顔をさせているのは聖女に気移りしている自分だという自覚もあったので、しばらくヒューゴは妻にとびきり優しくなった。
ヒューゴは最初、またグレースがユリアをいじめるのではないかと心配してグレースを監視していたのだが一向にその様子はない。
グレースは真面目に王妃として働いていた。
そして、贅沢はするが決して決められた予算をオーバーすることはなかった。
ヒューゴはますます困惑する。
「姉上はどうしてしまったんだ…?」
そして、グレースは行動に出る。新しい孤児院を作ったのだ。これには彼女をわがままなだけの女だと思っていたヒューゴもびっくりした。
「あの姉上が…社会貢献なんて…」
グレースの孤児院では職員への監視も徹底され、虐待は一切ない。美味しいご飯も十分な睡眠時間も温かなお風呂も約束される。条件はただ二つ。孤児であること、勉強を頑張ること。一定の期間で成績を上げなければ他の孤児院へ移動になる。
ヒューゴはグレースの変化にびっくりすると同時に、もう一つ驚いた。
優しい聖女様であるはずのユリアが、グレースの孤児院の創設を喜ぶどころか嫉妬しているようにすら見えたのだ。
ユリアのその反応に違和感を感じるヒューゴ。
ユリアへの熱が一気に冷めるのを感じて、それと同時に自分を客観視できた。
ユリアの逆ハーレムに自分が組み込まれていたこと、それを婚約者であった妻がどう見ていたか。
ヒューゴは頭を抱えた。
これでは妻にいつ捨てられてもおかしくない。
ヒューゴはますます妻に優しくなった。
妻はそんなヒューゴに困ったような顔をするばかりだったが、ヒューゴはそれにさらに危機感を感じて余計に妻に優しくなる。
その内妻であるリリアナの方から、もう大丈夫だからとハグをされてこの夫婦はやり直しを始めた。
ヒューゴはこんな自分を見捨てずにいてくれたリリアナに心の底から感謝して、もう二度とこの女性を大人しいだけの女とは思わないと誓った。




