真実の愛を見つけた
グレースの婚約者である王太子オノレ・エルヴェ・コンスタンタン。
彼は真実の愛を見つけた。
「王太子殿下ぁ!今日もかっこいいですー!」
「ふふ、ユリアの方こそ今日も愛らしいな」
「えへへ、そうですかぁ?嬉しいですぅ!でもぉ、私最近悩みがあって…」
「なんだと?なにがあった」
オノレは突然異世界から現れた聖女、ユリアにゾッコンだ。
彼女はオノレの婚約者グレースとは違って、オノレを認めてくれる。
全肯定してくれる。
居心地が良かった。
「実はぁ、ユリア…私、グレース様にいじめられてぇ…酷いですよね!」
「………ああ、すまないユリア。俺が不甲斐ないばかりに。なら証拠を集めてグレースを断罪しよう」
「わーい!王太子殿下大好きぃ!」
オノレはユリアを抱きしめる。
「可愛いユリア。待っていてくれ。俺が必ず君を守る」
「きゃー!王太子殿下素敵ぃ!!!」
オノレはユリアの言葉に浮かれる。
ユリアは自分を全肯定してくれる、ユリアは自分にとって唯一落ち着ける存在だ。
あの傲慢でわがままで、完璧すぎる婚約とは違う。
ダメダメで、でも聖女としての力だけは確かにあって、そして自分の自尊心を満たしてくれるユリア。
オノレは厳しいだけのグレースより、ユリアに惹かれる。
許されるなら、ユリアと結婚したいとさえ思えた。
オノレはやがて、グレースによるユリアへのいじめの証拠を他の貴公子たちとも協力して集めた。
そしてグレースを断罪する。
しかしこの学園は貴族の子供のための学園。
学園内で起こったことは子供のしたこととして厳しい処分は下されない。
ましてグレースは王太子の婚約者。
結果的に謹慎処分で終わった。
「すまない、ユリア…もっと厳しい処分を下せれば良かったのだが」
「十分ですぅ!王太子殿下大好きぃ!」
猫撫で声で甘えてくるユリアの頭を撫でる。
気持ちよさそうに撫でられる彼女に気分が良くなる。
婚約者であるグレースなんて、頭を撫でようとしたら手をはたき落として乙女の髪を軽々しく触るなと怒ってきていたのに。
「ユリアはやっぱり可愛いな」
「えへへ、そうですかぁ?嬉しいっ」
自分の頬にキスしてくるユリアにオノレはデレデレになる。
こんなスキンシップ、グレースはとってくれない。
やはり真実の愛は、グレースではなくユリアなのだ。
ユリアは聖女として多くの人を助けて人気もある。
なんとかしてユリアと結婚できないものか。
父である王に相談することも視野に入れて、オノレはユリアの頬にキスを返した。




