どうしてあの人が
ユリアは喜んでいた。
オノレと結婚できることが決まったからだ。
「ユリア、これで君を正式に俺の妃に出来る」
「わぁい!王太子殿下大好きぃ!」
グレースはユリアの代わりに王妃として外交などを任せるために第二妃となるらしい。
それがユリアにとって唯一不満だったが、ユリアは聖女として忙しいため仕方がないことだと納得した。
「聖女様ー!王太子殿下ー!ご結婚おめでとうございますー!」
「みんな、ありがとうー!」
「ふふ、祝福される結婚とは嬉しいものだな」
「そうですね、王太子殿下!」
結婚も無事に済み、オノレを手に入れたユリアはご機嫌だった。
その後側妃としてグレースが嫁いできたが、ユリアとの結婚式と違い質素なものだった。
ユリアはこれに喜んだ。
私こそがオノレの唯一なのだと。
しかしそんなユリアに対してグレースは気にするでもなくスルーしていた。
ユリアはそんなグレースが気に入らない。
ユリアは聖女としてしっかり働いた。
聖女様と崇められるのだから、このくらいは当然だ。
しかしグレースも真面目に王妃として働いた。
それもユリアは気に入らない。
「ユリア様、今日も完璧なお仕事ぶりでした!」
「ありがとう。ところでグレース様は大丈夫そう?」
「はい!グレース様はとても優秀ですからこちらは大変助かります!」
「そう…そうなのね」
ユリアは贅沢をそもそもしない。
だがグレースも、贅沢はするが決して決められた予算をオーバーすることはなかった。
ユリアはグレースが気に入らない。
「…今日もグレース様は節制してるの?」
「はい、本当に素晴らしいです!ですがユリア様も素晴らしいですよ!」
「そう…ありがとう」
そして、グレースは行動に出る。新しい孤児院を作ったのだ。
「聖女より聖女らしいことするなんて…ずるい!ユリアにはキツくあたってたくせに!」
グレースの孤児院では職員への監視も徹底され、虐待は一切ない。美味しいご飯も十分な睡眠時間も温かなお風呂も約束される。条件はただ二つ。孤児であること、勉強を頑張ること。一定の期間で成績を上げなければ他の孤児院へ移動になる。
「なんで…なんであの女ばっかり!」
ユリアはとうとうキレた。
自分のことはいじめた過去があるくせに、他の人に優しくして評価を集めるグレースが許せなかった。
そのうちユリアは落ち着きを無くして、使用人たちにキツくあたるようになる。
いつからかユリアは、「心優しい聖女様」のイメージから遠ざかっていった。
それにユリア自身が気付くことはなかった。




