第96話 卒業の日
高校生活の最後の日。
最初は静かだった学校生活。
でも今、ノアールの周りにはたくさんの人がいる。
そして今日は――
ノアールとルミエールの卒業の日。
卒業式の日。
校門の前には写真を撮る生徒たちが集まっていた。
ノアールが歩いてくると、すぐに声が上がる。
「ノアール!」
「おはよう!」
「昨日テレビ見たよ!」
女子たちが集まってくる。
「ねえ写真いい?」
「サインして!」
ノアールは少し照れながら笑う。
「いいよ」
スマホが並ぶ。
シャッター音。
笑い声。
制服姿の最後の朝だった。
少しして、ルミエールがやってくる。
「すごいね」
ノアールが苦笑する。
「なんか急にだよね」
ルミエールは笑う。
「前からだよ」
「みんな気づくのが遅かっただけ」
ノアールは小さく笑った。
「そうかも」
そのとき。
ソレイユが走ってくる。
「ノアール!ルミエール!」
「卒業おめでとう!」
三人は並ぶ。
写真を撮る。
シャッター音。
高校生活最後の写真だった。
体育館。
卒業式が始まる。
名前が呼ばれていく。
「ノアール」
静かな体育館に声が響く。
ノアールは立ち上がり、壇上へ歩く。
卒業証書を受け取る。
拍手が広がる。
続いて。
「ルミエール」
ルミエールも壇上へ上がる。
落ち着いた姿で卒業証書を受け取る。
二人の卒業。
席に戻りながら、ノアールは少しだけ胸が熱くなった。
最初の頃を思い出す。
誰とも話さなかった日々。
静かな教室。
でも――
今は違う。
式が終わり、校庭に出る。
「ノアール!」
また声がかかる。
「写真撮ろ!」
「卒業おめでとう!」
同級生たちが集まる。
笑顔。
カメラ。
制服の最後の時間。
そのとき。
少し離れた場所にショコラとブランシュが立っていた。
ショコラは目元を押さえている。
ノアールが近づく。
「ショコラ?」
ショコラは笑う。
「なんでもない」
「卒業おめでとう」
ブランシュも静かに言う。
「よく頑張ったね」
ノアールは少し照れながら笑った。
「うん」
三姉妹で並ぶ。
ショコラはまた涙を拭いた。
その少し後。
校舎の横。
ルミエールが立っていた。
そこへ桐谷が来る。
少し緊張した顔。
「ルミエール先輩」
ルミエールが振り向く。
「どうしたの?」
桐谷は少し迷ってから言う。
「俺…」
「ずっと好きでした」
短い沈黙。
ルミエールは優しく笑う。
「ありがとう」
そして静かに続ける。
「でもごめんね」
桐谷は少しうつむく。
それでも笑った。
「…ですよね」
ルミエールは少しだけ申し訳なさそうに言う。
「きっと桐谷くんには、もっといい人がいるよ」
桐谷は深く息を吐いた。
「言えてよかったです」
そして笑った。
「卒業おめでとうございます」
ルミエールも笑った。
「ありがとう」
少し離れた場所で。
ソレイユがその様子を見ていた。
ノアールが隣に来る。
ソレイユが言う。
「なんかさ」
「二人いなくなるの寂しいな」
ノアールが笑う。
「また会えるよ」
ソレイユは少し考えてから笑った。
「そうだね」
校庭には、まだたくさんの笑い声が響いていた。
ノアールは空を見上げる。
高校生活が終わった。
でも――
新しい時間が始まる。
ノアールとルミエールの卒業。
最初は静かだった高校生活。
でも最後は、たくさんの人に囲まれる卒業式になりました。
それぞれの道へ進む三人。
高校生活の時間が、静かに終わりました。




