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第95話 ショコラの危機

キャットスターとして忙しい日々を送るショコラ。


ライブやドラマ、レッスンに追われる中で、

大学の単位は思うように取れていなかった。


そしてこの日。


ショコラは大学で、一つの現実を知ることになる。

大学。


まだ少し肌寒い空気がキャンパスに残っている。


ショコラは事務室の前の廊下を歩いていた。


手にはさっき受け取った書類。


単位一覧。


もう一度目を通す。


足が止まる。


小さく息を吐いた。


「……やっぱり」


留年。


決定だった。


講義。


実習。


出席日数。


どれも足りていない。


理由は分かっている。


キャットスター。


ライブ。


ドラマ。


レッスン。


仕事のスケジュールはずっと埋まっていた。


大学に来られない日も多かった。


ショコラは紙を折り、バッグにしまう。


ゆっくり歩き出す。


大学の奥。


附属病院の建物が見える。


実習で何度も通った場所だ。


そのとき。


声がした。


「ショコラ?」


振り向く。


白衣姿の先輩が立っていた。


ショコラは少し驚く。


「先輩」


先輩が笑う。


「久しぶり」


「大学来てたんだな」


ショコラは少し苦笑する。


「ええ」


少し迷う。


それから言った。


「留年、決まっちゃいました」


先輩が少し驚く。


「本当か?」


ショコラは肩をすくめる。


「単位、足りませんでした」


少し間。


先輩が言う。


「仕事忙しいもんな」


ショコラは苦笑する。


「まあ」


「自業自得です」


先輩は少し黙る。


それから言った。


「妹さんのこと、大変だったよな」


ショコラが顔を上げる。


先輩は続ける。


「ノアール」


「最近復活したって噂で聞いた」


ショコラの表情が少しやわらぐ。


「ええ」


「元気になりました」


先輩が頷く。


「よかった」


少し間。


先輩が静かに言う。


「でもさ」


ショコラが先輩を見る。


先輩は続けた。


「もう妹さんは復活したんだろ」


「だったら」


「ショコラはショコラの人生を大事にしないと」


ショコラは何も言えなかった。


先輩が言う。


「大学も」


「医者の道も」


「ショコラが決めることだ」


「誰かのためだけに生きるのは違う」


ショコラは少し視線を落とす。


それから小さく笑った。


「先輩、相変わらずですね」


先輩が笑う。


「そうか?」


少しして先輩が言う。


「そうだ」


ショコラが顔を上げる。


「俺が大学のとき勉強してたノート」


「まだ家に残ってる」


ショコラが少し驚く。


先輩は続ける。


「よかったら貸すよ」


少し考える。


それから小さく笑う。


「いや」


「説明した方が早いか」


先輩が言う。


「今度うち来る?」


ショコラが少し戸惑う。


先輩は慌てて言う。


「勉強な」


「変な意味じゃない」


ショコラが笑う。


「分かってます」


「ありがとうございます」


附属病院の前を、冷たい風が通り抜けていく。


ショコラは空を見上げた。


空気はまだ少し冷たい。


けれど、春はもう遠くない気がした。

ショコラの日常の回でした。


三姉妹それぞれの道が少しずつ動き始めています。


忙しい毎日の中で、

ショコラもまた自分の人生と向き合う時間が訪れました。

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