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第89話 ステージの前

キャットスターの全国ツアー。


その前座として、LUMISORAがステージに立つことになった。


そして――

いよいよ、その当日がやってきた。

ライブ当日。


会場の周りには、開場を待つファンの長い列ができていた。


キャットスターの全国ツアー。

大きなホールの入り口には、姉たちの巨大なポスターが掲げられている。


客席は、開演前から熱気に包まれていた。


「今日は満席だね」


「LUMISORAが前座で出るらしいよ」


「ノアール、本当に復帰するのかな」


期待と噂が入り混じったざわめきが、会場全体を揺らしている。


少し離れた関係者席。


凛は、ステージをじっと見つめていた。


隣に座る海斗が、ふと声をかける。


「珍しいな。こういうのに来るなんて」


凛は視線を動かさない。


「別に。……ただ、ノアール大丈夫かなって思って」


海斗が少しだけ眉を上げる。


凛は静かな声で続けた。


「あの子、休業する前に……キャットスターのライブで倒れたでしょ」


少しだけ間を置く。


「トラウマになってないといいけど」


海斗は短く息を吐いた。


「……よく覚えてるな」


凛は肩をすくめ、ステージを見たまま言う。


「覚えてるわよ」


少しだけ柔らかい声になる。


「親友だったんだから」


「見守るくらい、いいでしょ」


客席の別の場所では、


レンが深く帽子をかぶり、腕を組んで座っていた。


誰とも話さず、ただステージだけを見つめている。


また別の席では、


ブランシュのお見合い相手が、

大手スポンサーの社長である父親と並んでパンフレットをめくっていた。


ページをめくる手が、

ブランシュの写真のところで止まる。


その視線は、静かだった。


その頃――

LUMISORAの控室。


ソレイユが落ち着かない様子で深呼吸を繰り返していた。


「……緊張する。キャットスターの前座だよ?」


ノアールは小さく首を振る。


「キャットスターっていうより……」


少しだけ息を吐いた。


「お姉ちゃん達の前で歌うの、ちょっと緊張する」


ルミエールがくすっと笑う。


「ノアールらしい」


ソレイユがぱっと顔を上げる。


「でもさ!ここで頑張ったら、私たちのこと覚えてもらえるかもしれないよ!」


ノアールは二人を見た。


そして小さく頷く。


「うん」


「ここで頑張って、私たちのこと……みんなに知ってもらおう」


ルミエールも静かに頷く。


「行こう」


「LUMISORAとして」


そのとき、スタッフがドアを叩いた。


「LUMISORAの皆さん、スタンバイお願いします」


三人は立ち上がり、廊下へ出る。


ステージ袖から、強いライトの光が漏れていた。


歓声が、地響きのように聞こえてくる。


「LUMISORA」


「スタートです!」


ノアールは一歩、踏み出した。


光の向こう側へ。

キャットスターの全国ツアー。


その前座として、LUMISORAがステージに立ちます。


客席には

凛、海斗、レン、そしてブランシュのお見合い相手。


それぞれの視線が、同じステージへ向けられています。


次は――

いよいよ復活ライブ本番です。

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