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第59話 同じテーブルで

本音は、

準備ができた時じゃなく、

限界が来た時に出ることがある。

夕方の光が、

廊下に細く伸びていた。


 


ソレイユは、

リビングの手前で足を止めていた。


 


灯りが、

少し遠く見える。


 


ショコラが、

横に並ぶ。


 


「入れそう?」


 


少し間があった。


 


「……分からない」


 


声が小さい。


 


ショコラは急がせない。


 


「恋が全部ダメな世界じゃない」


 


「続けてる人もいる」


 


ソレイユは顔を上げた。


 


「……いるの?」


 


本気の驚きだった。


 


ショコラは小さくうなずく。


 


「いる」


 


「ただ」


 


「守れないと、

周りまで止まる」


 


「だから、

みんな慎重になるの」


 


ソレイユは黙る。


 


指先が縮む。


 


「私」


 


「無理かも」


 


「嘘つけない」


 


「すぐ顔に出る」


 


喉が詰まる。


 


「好きって気持ち、

隠せない」


 


ショコラは否定しない。


 


「それは、欠点じゃない」


 


「本気の人の特徴」


 


間を置く。


 


「怒りじゃなくて、

気持ちを言いなさい」


 


「その方が届く」


 


ソレイユは、

小さく息を吸った。


 


リビングに入った。


ノアールが先に座っていた。


カップを、

両手で持っている。


 


ルミエールもいる。


 


視線が合う。


 


逸らさない。


 


ショコラが言う。


 


「座ろ」


 


三人が、

テーブルを囲む。


 


間に空間がある。


無理に埋めない。


 


沈黙が落ちる。


 


最初に口を開いたのは、

ソレイユだった。


 


「……本気だった」


 


短かった。


 


「遊びじゃない」


 


「守りたかった」


 


息が少し揺れる。


 


「失うのが、怖かった」


 


名前は出さない。


 


間を置く。


 


「視野が、狭くなってた」


 


「ちゃんと周り、

見れてなかった」


 


小さく言う。


 


「……ごめん」


 


ルミエールが顔を上げる。


 


言い訳はしない。


 


「……ごめん」


 


「守ろうとして、

遅れた」


 


それだけ言う。


 


ノアールが、静かに言った。


 


「私も」


 


少し間を置く。


 


「知ってた」


 


視線は下がったまま。


 


「この世界のこと」


 


指先に力が入る。


 


「言わなきゃいけなかった」


 


「先に」


 


小さく息を吐く。


 


「ごめん」


 


ソレイユは首を振る。


 


「守ろうとしたのは、

分かる」


 


視線が向く。


 


「だから、

ぶつかった」


 


否定ではない。


確認だった。


 


ノアールが続ける。


 


「止められなかった」


 


間を置く。


 


「でも」


 


「一人じゃなかった」


 


ルナが小さく鳴く。


 


ショコラが笑う。


 


「うん」


 


ブランシュもうなずく。


 


「本気だったってことは、

分かってる」


 


空気がやわらぐ。


 


ソレイユが言う。


 


「続けたい」


 


「歌は」


 


間を置く。


 


「気持ちは」


 


小さく言う。


 


「嘘にしない」


 


「ごまかさない」


 


「でも」


 


「勝手なことはしない」


 


息を整える。


 


「ちゃんと、立つ」


 


「歌に集中する」


 


少しだけ視線を上げる。


 


「……やっぱり、

みんなと一緒に」


 


ルミエールは、

小さく笑った。


 


「じゃあ」


 


「一緒に守ろう」


 


それが、和解だった。

本気は、

ぶつかっても、消えない。

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