第50話 チームの輪、広がる未来
一人では解決できないことも、仲間の声があれば答えが見えてくる。
久しぶりに訪れた部室。
そこには、私たちの活動を「もっと楽しく」してくれるヒントが溢れていました。
昨日のライブの反省を胸に、私たちは久しぶりにアニメ同好会の部室へと足を運んだ。
扉を開けると、そこには悠斗くんと桐谷くんの姿があった。
二人は私たちの顔を見るなり、パッと明るい表情になる。
「先輩たち! 久しぶりっす!」
「お疲れ様。昨日のライブ、良かったよ」
桐谷くんの威勢のいい声と、悠斗くんの穏やかな言葉。
その温かさに、ライブの失敗で少し凝り固まっていた心がほぐれていく。
「見てくれてありがとう。でも……正直に言うと、お客様はロボットに夢中だったの」
「私たちの歌は、まだ観客には届いてなかったわ」
ソレイユとルミエールが静かに現実を口にすると、桐谷くんが少し考えてから言った。
「でも、逆に言えば人を集める力はもうあるってことっすよね? なら、次はもっと“楽しいショー”にしちゃえばいいと思うんすよ!」
「ショー?」
「はい! 曲の最後にじゃんけん大会やクイズを入れたり。子供たちをステージに呼んで、一緒に歌って踊るとか!」
悠斗くんも頷いて、少し照れくさそうにソレイユを見た。
「確かに。子供たちに話しかけるトークがあったら、もっと距離が縮まると思う。……ソレイユなら、すぐに子供たちと仲良くなれるだろうし」
「なにそれ、楽しそう! 全部やろうよ!」
ソレイユが弾けるような笑顔を見せ、ルミエールも「ふれあいは大事ね」と微笑む。
すると、桐谷くんが思い出したように続けた。
「そういえば、俺には妹がいるんすけど。小さい頃、よく女の子向けのショーに付き添わされてました。悪い敵が出てきて、子供たちが『がんばれー!』って叫んで、最後は歌って踊るやつです」
「俺も何度か一緒に行ったことがある。ステージのヒロインたちが、子供たちに話しかけながら進めてたな」
悠斗くんの説明を聞いて、ソレイユは不思議そうに首をかしげた。
「でもさ。あんなに可愛い衣装を着たまま、あんな大きな動きができるの? 動きにくくならないのかな?」
その真顔でのツッコミに、部室にいた全員が思わず吹き出した。
「た、確かに……!」
「でも、子供にとっては“可愛い”と“強い”が同時にあるのが夢なんだと思うよ」
ルミエールが納得したように頷く。
「……つまり、私たちは“夢の象徴”になればいいのね。ただ歌うより、ずっと子供たちの心を掴めそうだわ」
ノアールが静かに、でも嬉しそうに呟いた。
「……子供たちと一緒に『がんばれー』って言えたら、素敵だと思う」
「チラシやSNSの宣伝は、僕たちがやります。アニメイラストを入れたデザイン、勉強にもなるし!」
悠斗くんの申し出に、ソレイユは声を弾ませる。
「わー、嬉しい!」
「ありがとう。助かるわ。ノアールは、サイン用の紙に入れるロボットのデザインを考えて。私とソレイユで、ステージの構成をまとめるわね」
ルミエールのテキパキとした指示に、チームが一気に活気づいた。
「桐谷くんも悠斗くんも、子供たちが喜びそうな歌詞のヒントがあったら教えて。男の子と女の子じゃ、きっと好みが違うでしょう?」
「俺は子供の頃、悪い奴をやっつけるヒーローに憧れてましたね! あとはスポーツアニメとか」
「ヒーロー……それも、いいイメージね」
ルミエールの瞳が、未来のステージを予感させるようにキラリと光った。
一人では限界がある。
でも、こうして仲間が増えるたび、私たちの可能性はどこまでも広がっていく。
新しい歌。
新しいステージ。
本当の「LUMISORA」の物語は、ここから始まろうとしていた。
第50話までお読みいただき、ありがとうございます。
初ライブの悔しさは、仲間の声によって少しずつ別の形へと変わっていきました。
まだ未完成で、まだ手探り。
けれど、その時間こそが今の私たちです。
ここまで見届けてくださり、心から感謝します。




