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第37話 恋と猫と、それぞれの責任

ただいま、の声が響く家。

それだけで、心は少しあたたかくなる。

ルナとブランと遊んでいると、

玄関の方から勢いよく扉が開く音がした。


「ただいまー!」


振り向くと、ソレイユがこれ以上ないほど上機嫌で帰ってきた。


「おかえり、ソレイユ。……デートはどうだったの?」

ルミエールが、楽しそうに問いかける。


「で、デートなんて違うよ!

ただ、男友達と遊びに行っただけ!」


けれど、ソレイユの頬は真っ赤だった。


「じゃあ、なんで顔が赤いのかしら?」

「もういいじゃん! お腹すいた! 今日の晩ごはんは何?」


必死に話をそらすソレイユ。

そんなやり取りさえ、ノアールには心地よかった。

まるで、本当の家族のようだと思える。


「ルナはまだしつけの途中だから、

ごはんや勉強の間は猫のプレイルームで過ごしてもらいましょう」


ルミエールに促され、ノアールはルナを優しく抱き上げる。


「ルナ、最初に会ったときは弱々しかったのに……

今じゃ手に負えないくらいやんちゃだよ」


「それは元気になった証拠よ。

でも、一緒に暮らすなら、トイレや生活のしつけは大切。

一緒に頑張りましょう」


「うん、頑張る」


そこへ手洗いを終えたソレイユが戻ってくる。


「何の話してるの?」

「猫のしつけの話よ」

「ブランとルナ、どちらも大事な相棒だね。

私もいつか、自分の相棒を迎えたいな」


ルミエールは少し微笑む。


「いつか、動物保護センターに行ってみましょうか」

「うん!」


小さな約束が、また一つ増えた。


やがて三人はダイニングに並び、夕食が始まる。


「さて……ソレイユ。

そろそろ、彼の話を聞かせてもらおうかしら?」


ルミエールの言葉に、ソレイユは観念したように笑った。


「……今日はね。

一緒に買い物して、帰りに夜景の綺麗なところに行ったの」


「そこで……告白されちゃった」


「返事は?」

「……OKしたよ」


ソレイユは、そっと指を差し出す。

小さな指輪が、食卓の灯りを受けて輝いていた。


「彼が少ないお小遣いで買ってくれたの。

向こうの星で持っていた高価なアクセサリーより、

この指輪のほうが、ずっと宝物なの」


その言葉に、ノアールは少し胸が温かくなった。


けれど、ルミエールは静かに問いかける。


「ソレイユ。

私たちが地球に来た理由……忘れていないよね?」


「……あ」


ソレイユは、はっとした顔になる。


「私たちはこれからアイドルになる。

地球のアイドルは、恋愛が自由にできない世界でもあるわ」


「それでも、アイドルになる覚悟はある?」


「もし迷いがあるなら、

私とノアールの二人でユニットを組むつもりよ」


ソレイユは困ったように笑った。


「……彼のことも好き。

でも、アイドルもやりたい。

どっちも諦めたくない」


「なら――」


ルミエールは軽く微笑む。


「彼をアニメ研究会に誘いなさい。

そして、うちの敷地内で会えばいい。

誰にも邪魔されないわ」


「……それ、天才じゃない?」


ソレイユの顔がぱっと明るくなる。


「私ね」

ソレイユは少しだけ真剣な声になる。


「向こうの星では、お姫様なの。

将来の結婚相手も、勝手に決められているの……」


「でも……自分で恋をしてみたかったの」


「いつか星に帰る運命でも、

今のこの気持ちは、本物だから」


ルミエールは優しく頷く。


「先のことは、その時考えましょう」


「ソレイユ、その恋する気持ちを詩にしてみて。

それを歌にするの。

私たちのアイドル活動の第一歩よ」


ノアールの胸も、高鳴る。


歌を作る。

踊る。

自分たちで未来を切り開く。


「このビジネスが成功すれば、

ノアールの猫の費用も、借金も返せる。

ショコラもブランシュも自由になれる。

そして、ソレイユも自由に恋ができる」


「だから――今、頑張りましょう」


三人の食卓は、いつのまにか

未来への作戦会議へと変わっていた。

読んでいただき、ありがとうございます。


恋も、夢も、責任も。

全部抱えたまま進んでいい。


ノアールたちの新しい挑戦が、静かに動き始めました。

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