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第23話 LUMISORA

放課後。

教室の空気が変わる中で、

三人だけの時間が始まる。

放課後。

教室のざわめきが遠のいた頃、ソレイユが机に肘をついた。


「ねえ。部活、作らない?」


ノアールは瞬きした。

部活なんて、自分とは関係のない世界だと思っていた。


「この学校、美術部はあるけどさ」

ソレイユが肩をすくめる。

「油絵っぽい空気で、もう輪ができてるじゃん。入りづらいよね」


ノアールは、小さく頷いた。

あそこは、もう“出来上がっている”。


ルミエールが静かに言う。


「だったら、作ればいいわ。最初から」


ソレイユが、少し楽しそうに笑った。


「アニメ同好会!」


「……アニメ?」


「そう。アニメも、マンガも、推し活も」

ソレイユはまっすぐ言った。

「オタク活動を、明るくやる場所」


どこの学校でも、オタクは肩身が狭い。

ノアールも、そう思ってきた。


「でもさ、この学校は逆に――」

ソレイユは言い切る。

「オタクが中心ってことにしちゃうの」


ノアールは言葉を失った。

そんなの、ありえない。

……はずなのに。


ルミエールが、ノアールのノートの端を見た。

そこにある、小さな落書き――猫。


「隠さなくていいわ。形にしていい」


ノアールは反射的に手で隠して、すぐにやめた。

隠したところで、もう遅い気がした。

もう、見つかってしまった気がした。


「ねえ、最後に決めるのはノアールね」

ソレイユが紙とペンを差し出す。

「提案は私たちが出す。でも、決定は部長がするの」


「……私が、部長?」


「うん」

ルミエールも頷いた。

「あなたが決めた名前なら、守れる」


“決める”。

そんなこと、自分にできると思ったことはなかった。


でも、今日の自分は、少しだけ違う。

手に持ったシャープペンが、軽い。


ノアールは小さく息を吸って、書いた。


『LUMISORA アニメ同好会』


ソレイユが、ぱっと笑った。


「決まり!」


ルミエールは、静かに言った。


「部長は、ノアール」


たった一行。

それだけで、ノアールの居場所が、確かに形になった気がした。

読んでいただき、ありがとうございます。

放課後の時間は、

思っている以上に大切なのかもしれません。

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