第102話 帰り道
試写会が終わる。
映画館の外に出ると、夜の空気は静かだった。
さっきまでのフラッシュが嘘みたいに消えている。
ノアールとレン。
凛と海斗。
それぞれ並んで歩き出す。
自然な距離のまま、会話を続けながら。
少し離れた場所。
ソレイユとルミエールは立っていた。
ソレイユが小さく言う。
「まぶしいね」
前を見つめる。
並んで歩く二組の背中。
無理のない距離。
当たり前のように一緒にいる空気。
ソレイユは少し笑う。
「完全にさ」
「遠いよね」
ノアールとレンの背中が、ゆっくり遠ざかっていく。
少し遅れて、
凛と海斗も、別の方向へ歩いていった。
静けさが戻る。
ルミエールが言う。
「ノアール」
少し間。
「元気になったね」
ソレイユがうなずく。
「うん」
ルミエールは小さくうなずく。
「よかった」
それだけ言う。
少しの沈黙。
「私たちの役目」
「終わりに近いのかも」
ソレイユは何も言わない。
遠くの街灯の光だけが残る。
ルミエールは視線を落とす。
「私は」
少し間。
「仕事が落ち着いたら」
それ以上は言わない。
そして、ソレイユを見る。
「ソレイユは」
「ここに残るの?」
ソレイユは答えない。
ただ前を見たまま、
少しだけ寂しそうに笑った。
ノアールとレン、凛と海斗。
二組の関係が自然に並ぶ一方で、
ソレイユはその外側に立っています。
そしてルミエールの一言。
「役目の終わり」は、まだ静かですが確実に近づいています。
ここからそれぞれの道が、
はっきりと分かれていきます。




