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お家に帰るまでが遠足なのです(1)

~朝食を食べ終わった後のこと~


アップルパイ半分しか食べれなかったが普段小食の僕にとってはダメージはない。

ただ、彼女シロはお腹いっぱいになっているのだろうか?

常人よりも食べない僕と食べ盛りであるはずの少女が同じ感覚とは到底思えない。


するとシロは突然、

「ねーね!せっかく人間になれたし私お外の世界に出てみたい!」と言い出す。

シロの要望に応えたいと僕は思ったが、いくつか障害となることがある。

それは、『どうやって家を出るか』『一緒に散歩等をしたら近隣住人から怪しまれないか』等が挙げられる。


まず『どうやって家を出るか』だが我が家は二世帯住宅で一階にはおばあちゃん、外では庭にある畑で農作業をしているおじいちゃんがいる。なんなら自室から出るのも母親に見つからないように出る必要がある。


(さて、どうしようか....)


僕は脳内で家族に見つからないルートを考える。

すると一階からおばあちゃんが吹くオカリナの音が聞こえることに気づく。


自室の真下からなので恐らくおじいちゃんとおばあちゃんが使う書斎兼PC部屋からだ。

つまり階段、玄関、裏口は少なくともおばあちゃんは見ていない。

しかしおじいちゃんが家から見て正面の畑で農作業をしている。


となると、階段を降りて裏口から出るのが最適解だと脳内のスーパーコンピューター(8bit)が導き出す。


ということでミッションスタート!

ミッションインポッシブルの音楽を脳内再生しながらまずは僕だけが自室から出て外をクリアリング。


母親は寝室奥の物置を掃除している、これは好機と書いてチャンス!

シロにグッドサインを出してこっそりと外に出る。

一階からのオカリナの音もまだ続いている。


階段をニンジャ(海外ストリーマーの方ではない)もびっくり仰天するほどの忍び足で降りて裏口に向かう。しかし僕はとあることに気づく。

_人人人人人人人_

> 靴がない! <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


幸いにも玄関と裏口は案外近いのでなんとか取りに行ける。

ただこの時の僕はオカリナの音が消えていることに気づけなかった。


僕の靴とシロに履かせる用のサンダルを持って裏口に戻ろうとする。

しかし、おばあちゃんが書斎からリビングに移動しているところを目撃してしまう


(まずいッッ!!!!)


我が家は書斎とリビングの間に玄関と裏口があるため確実におばあちゃんとシロが鉢合わせる!


しかし、何事もなくおばあちゃんはリビングでまたオカリナで音色を奏で始めた。


(あれ??)


僕は拍子抜けした。流石にうちのおばあちゃんでも知らない少女が家にいたら驚くと思うのに....

恐る恐る僕は裏口に向かった。


すると、安心感があるずんぐりむっくりとした首元のリボンがチャームポイントの白熊のぬいぐるみが転がっていた。

「かずとー、この状態で外に連れて行ってくれない?」

ぬいぐるみの状態でも会話はできるようだ。


僕はぬいぐるみの姿のシロを持ちながら外に出る。


「ふわぁぁぁぁぁぁぁ、お外の空気はきれいだね~~!いつもPCの熱であっつい部屋にいたから新鮮だね~!」

PCの熱であっつい部屋に関しては心当たりしかないのでやめていただきたい。

するとシロから急に煙が出始めた。

「わっ!!!」

驚く僕。気づいたら目の前に白髪少女のシロが立っていた。


「ぷはぁぁぁ!!シャバの空気はうまいぜ~~~!!」

「監獄から解放された囚人のようなことを....」

僕は何事もなく家から出れたことに安堵する。


「さあ、レッツお散歩だよ!!行こ!かずと!!」

僕の手を引っ張って走り始める。

(この子を外に出して本当に大丈夫なのだろうか........)

僕は喜びと不安の感情の狭間にいた。












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