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自室に幽閉された少女

母親が出て行ったことを確認した僕はクローゼットを開ける。

「暗いよ~....ほこり臭いしお化けが出てきそう....」

クローゼットに無理やり入れられたシロは声を震えさせながら僕に訴えかけている。

_人人人人人人人人人人人人人人人_

> 怖いのは僕の方なんだが!? <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

暗所にずっと隠すのも心が痛むのでクローゼットから出してあげることにする。


「もー、急にどうしたの?私お母さんのこと知ってるよ?どうしてクローゼットに入れたの?」

シロを名乗る少女は不満げにこちらを見つめる。

さらさらな純白の頭髪、透き通った肌、もちもちなほっぺた。


(これは本当にシロなのか?)


僕は未だに彼女が本当にシロなのか疑っている。

(本当にシロなら僕のことを知っているはずだ)



「あの、シロ...さんに質問があるんですけど....」


「そんなかしこまらないでよ~~~」

思い切って聞いてみる。

「僕が小学生の時におばあちゃんのパソコンで作ってたゲームのタイトルって何だと思う?」

「新・勇者伝説でしょ?なんでそんなこと今更聞くの?」

即答された、しかも合ってる。


_人人人人人人人人人人人_

> この子、本物だ!! <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


「もしかして、私が本物のシロかどうか試してるの?」

図星だ、脳内を覗かれている感覚とはまさにこのことだろう。


シロはにっこりと微笑んだ。

「私はかずとのこと何でも知ってるよ!好きな音楽も好きな食べ物も!一人でえっちなイラスト見ながら何かしてるのも知ってる!」

今この瞬間、この部屋にだけ氷河期が訪れた。はるか大昔に恐竜が滅んだ理由がよくわかる。


「かーずーとー、一緒に朝ごはん食べよーよ!」

彼女はしれっととんでもないことを口滑らせたことに気づいていないようだ。



ふと我に返る。彼女の存在が家族にバレたら僕は犯罪者と思われる。

ただでさえ専門学校を休んだりして親に心配をかけているのにこれ以上迷惑かけたくない....!!

「シロはここで待ってて、僕が朝ごはんを取ってくるから!」


一翔は急いでリビングに朝ごはんを取りに行く。

リビングに行く途中に母親に捕まる

「一翔、誕生日おめでとう。けど朝から騒ぎすぎじゃない?」

「ありがとう!さっきはネットの友達と話してた!今日は朝ごはんを自分の部屋で食べることにする!ごめん!」

「それはいいけど、朝から騒ぐのは心臓に悪いわよ。」

(本当に過干渉な母親だ。けれどネットの友達と話してるっていう言い訳は我ながらいい発想だったな...)


些細なことで自己肯定感を上げていく僕、無事リビングで戦利品(一個だけあったアップルパイ)を手に入れた。


部屋に戻った

「ごはん取ってきたよ~」

しかし応答がない。無駄に広い自室を見渡しても、シロの姿はない。

その瞬間、脳内のモニターにとある3文字が緊迫感を煽るやかましいアラームと共に表示される。


_人人人人人人_

> まずい! <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄


理屈ではなく本能がそう感じた。


僕はリビングに戻った。しかしそこにもシロの姿はいない。

洗面所やお風呂、親の寝室を探してもいない。

幸い弟は学校、父親は仕事、母親は一階で祖母と話しているっぽい。

僕は二世帯住宅に住んでいることに心から感謝した


(やっぱり疲れすぎて幻覚見ていたのかな...)

そう思った僕はトイレに向かう。

(はぁ、用を足して一人でご飯を食べるか...)


ガチャッ


トイレのドアを開けた先には、ズボンを下してトイレに座る少女がいた。

予想外の光景にただただ立ち尽くす僕

たまにおばあちゃんが買ってくるめちゃくちゃ甘いイチゴを連想させるくらい顔を赤く染める白髪の少女


「あ、あわわわわ....見ないで!えっち!変態!!」

シロはトイレのドアを地響きが起こるような勢いで閉めた。


(やっちまった.....)


しばらく自室で待っていると、シロは戻ってきた。

まだ頬を染めている。顔を少し隠しながらシロは僕を見つめる

「ねぇかずと...さっきはごめんね....何も言わずに部屋を出ちゃったし...」


さっきの出来事は完全に事故だったとはいえ、流石に僕も申し訳なく思う。

「僕こそごめん。ほら、アップルパイ。一つしかなかったから半分こしよ。」


シロはアップルパイを見て目を輝かせる。

そうだった。昔ぬいぐるみ遊びしてた時に僕はシロにりんご好きという設定を与えていた。

僕はこの少女が完全に幼いころからそばにいるぬいぐるみのシロということを確信した。


アップルパイを手で均等(当社比)に分けてシロに手渡す。


彼女はアップルパイをとてもおいしそうに頬張った。

その表情はとても可愛らしいものだった。


それはぬいぐるみとしての可愛らしさなのか、一人の女性としての可愛らしさなのかは僕にはまだ分からなかった。





























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