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第5話:決意の出発!私たちの旅、始まります!

「よしっ!」


私は、勢いよくリュックの紐を締めた。


パンパンに詰め込んだ荷物――着替え、薬草、保存食、ママとパパからもらったお守り。


「いっちょ、行きますかーーっ!」


勢いよく立ち上がる。

窓から差し込む午後の陽光がまぶしい。


頭の中には、さっきの光景が何度もリピートしていた。


***


ドラゴンのことを、おばさんに、それから村のみんなに報告した。


「やっぱり、魔王の力は強まっているんです。だから、私たちが倒さなければいけないんです!誰かを待っている暇なんてありません!」


「みんな、安心してください!私たち、魔王を倒しに出発します!ドラゴンを倒したユートさんという勇者……私たちなら、絶対に行けます!!!」


私は、全力で言い切った。

村の人たちは……。


「レリィちゃん、応援しているよ!」

「やったれ、この村の力、見せつけてやるんじゃ!」

「無理だと思ったらすぐ返って来いよ!」


私の胸は、誇りでいっぱいになりました。


「なんか俺、ついて行く流れになってね……?まあいいけどさ……」


それから、家に帰って、ママとパパにも報告した。


「そうだな、止めても無駄……なんだろうな、お前は」

「そうねえ……」


止めても無駄?何のことでしょう。

私たちなら絶対いけるんですから行くしかないでしょう!

そう言ったけど、ママたちはまだ不安そうで。


「ねえドルト、頼みがあるんだけど……レリィのこと、お願いしてもいいかしら……この子、知ってると思うけど、突っ走るところがあるから」


「そうだな、俺からも頼むよ、ドルト。働かなくていいから……レリィを見守ってくれないか」


ドルト――兄さんは、すぐに答えた。この上なく爽やかな笑顔で。


「当たり前じゃん!大切な妹だし、俺がついて行くよ!!」


やった!兄さんも、来てくれる!

私を見守るっていうのはよくわからないけど、兄さんは本当に頼りになる人だから、これは素直に嬉しい。


「絶対『働かなくていい』っていう部分に反応しただけだろ……」ってユートさんが呟いたような気もしないでもないが、気にしないことにした。


「え、皆さん、行くんですか……?」


そう言ったのは、ドアの前でぽつんと立っていたマチル。


「じゃあ……みんな、行くなら……わたしだけ、残るのも……なんか、やだし……」


「マチル……!」


こうして、皆がそろった。

打倒魔王パーティ、いよいよ始動です!!!


***


荷物を背負い、私たちは村の門―――と言っても、柵と看板だけだけど――に、ピシッと立った。


「行きましょう!!」


私の宣言が、のどかな村の空に響く。

春風をすうぅっっと、吸い込む。

振り返ると、みんなも心なしか、張り切っているみたいだ。


「さあ、出発です!!!」


「よっしゃ、行くぞ!!隣の城塞都市にはデカい店があるからな……明後日には着くだろ?そして明後日は金曜日……!」


「出た……曜日理論……」


「おかしい……論理が破綻してます……終わりです……ああ、私たち終わるんですよ……!」


「大丈夫!今日は始まりの日!何も終わりませんよ、マチル!行きましょう!いざ、魔王城への一歩を踏み出すのです!!!」


そして、一歩を踏み出す。

記念すべき第一歩。


「ほーら、行きますよ!!!」


「ていうかマジで行くのかよ……ダル……」


***


門をくぐって、一本道をひたすら歩く。


「なあ」


ユートさんが、ふいに口を開く。


「お前さ……怖くねえの?あのドラゴン、見たの今日だぜ……」


私は、少し立ち止まる。

でも――すぐに振り返り、胸を張って言い切った。


「怖いとか……そんなの、どうでもいいんです」

「魔王は、着実に力を強めてるんです。誰かが止めないと、世界は――」

「だったら、私たちがやるしかないんです!!」


そう叫ぶように言って――私は、また前を向いて、駆け出した。


「行きましょう!!打倒魔王パーティ、出発です!!」


その背中に、ユートさんのため息混じりの声が追いかけてくる。


「……バカ……根拠ゼロ……」


私は、走りながら振り返り、手を振った。


「ユートさんも!あんな力がある”勇者様”なんですから!」


「さあ!行きましょう!」


春風が道端の花を揺らす。


「……お前、ガチでバカ……みてえにポジティブだな」


ユートさんが、ちょっとだけ口の端を上げたような気がした。


一歩、また一歩と道を跳ねていく。


「よっしゃ!ついに冒険だぁぁ!!明後日は大勝ちだあああぁ!!」


兄さんも、嬉しそうに走ってくる。


「は、走らないで……ってば……!」


マチルの声も、ちゃんと、後ろから聞こえてくる。


私たちは、確かに、動き始めた。


向かうは城塞都市ポンズ。

活気あふれる、商業の中心地。


私たちの旅が、今、ここに、始まった――!

次回→第6話:これが運命の出会い!?ポジティブ伝道師パッソ参上!

24日(土)昼過ぎ更新!


お読みいただきありがとうございます!!!

リアクション等お気軽にいただけると大変うれしいです!!!

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