表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『現代を歩く、安部公房』ChatGPTで甦るバーチャル安部公房から見た現代のスナップショット。  作者: エンゲブラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/51

『思索の密漁者たち──インターネットが奪った時間』

──どこまで行っても、便利というものは不便の裏返しに過ぎない。


電気が発明されたとき、人間は闇を征服したと思った。だが闇は消えず、むしろ人間の生活の内部へと逃げ込んだ。夜という区切りが消え、昼と夜の境界が溶けてしまった結果、私たちは「終わらない労働」という闇を抱え込むことになった。


インターネットも同じだ。手元に世界中の情報を呼び出せるというこの魔法の装置は、時間を節約するどころか、時間という概念そのものを解体してしまった。


駅で電車を待つ数分、喫茶店でコーヒーを啜る数十分、家で夜更けにぼんやりと天井を見つめる数時間──そうした「時間の隙間」にこそ、人間の思考という厄介な副産物が湧いていた。


インターネットは、この隙間を効率的に埋め立てた。検索窓という名の土砂を流し込んで、あらゆる思索の余白を埋め尽くした。


結果として、私たちは時間を「得た」つもりで、時間を「失った」。自らの思考が育つための余白を剥奪されたのだ。


かつて「暇」を持て余していた人間は、いまや「暇」を検索する羽目になった。Googleに向かって「暇つぶし」と打ち込む人類の滑稽さ。もはや、暇は存在しない。あるのは、暇を埋める義務だけだ。


進歩とは常に、後退を隠すためのマジックミラーである。鏡の向こう側で、私たちの時間はゆっくりと消えていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安部公房 箱男 KoboAbe AI ChatGPT
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ