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パチンコ

作者: 漆原恭太郎

 男はパチンコ店のホールをうろつき、めぼしい台を選んでいた。

 やかましい騒音とタバコの煙、もともとパチンコを始めた時から煙や音は気にならなかった。しかし一昔前に比べるとパチンコ店もだいぶクリーンなイメージになってきている。

 パチンコ店にはいろんな奴がいる。勝っていて気分のいい奴、負けていて気分の悪い奴、負けすぎて半ばやけくそで金を突っ込んでいる奴。


 一通りホール内を回ってから台情報が見れる端末を使いデータを見る。今日のこの時間までどのように出たか、それとも出ていないかそういった情報を基にして台を選ぶのだが、実際は調子の良い時は直感で選んだ台で勝てたりする。


 男はその中から自分の好きな機種、その機種の中からさらに二台に絞込みどちらを打とうか考えていた。とりあえず台を確保する為にそちらのコーナーに向かう、平日の昼間なので人はあまりいない。数日前に男は仕事を辞めたばかりなので暇をもてあましていた。働いていた頃からパチンコ店にはときどき通っていたのだが、ここ数日は毎日通っている。


 掃除機の訪問販売の仕事だった。毎日足が棒になるまで歩き回り、飛び込み営業で掃除機を売る。最初のうちは何も考えずひたすら掃除機を売ることに専念してきたが途中からばかばかしくなってきた。他社の製品と比べて優れている部分等を必死で説明し客に買ってもらう。実際、優れている部分などないように思えた。自分で良いと思えない商品を売るのに罪悪感を感じてきたのだ。あまい考え、子供っぽい考えだと分かっているがどうしようもなかった。もしかすると本当は働きたくないだけで何か辞める理由が欲しかっただけなのかもしれない。

 次の仕事を探さなければと思っているのだが自分の本当にやりたいことはなんなのか自分でもよくわからず、家に居ても考えすぎて煮詰まってしまうのでパチンコに来てしまう。いや、ただ単に手軽に熱くなれる刺激が欲しい、金を賭けている以上やはり熱くなってしまう。


 2台の候補台のうち片方はすでにおじさんが座っていたのでもう一つの候補台に座る。何百発、何千発と玉を打って実際に当たるのはその中のほんのわずかな玉だ、いや何百発、何千発と打ってもまったく当たりがこないこともめずらしくない。

 打ち出された玉はほとんどは当たらない、無駄玉だ。当たりに繋がるのはほんの一握り。人生において自分はまだ打ち出された玉でさえないとふと思った。



 男の台はすぐに当たりがきた。派手なBGMが流れ大量の玉が流れ出てきた。


初めて投稿します。


下手くそな文章ですが読んで頂ければ嬉しいです。



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― 新着の感想 ―
[一言] うーん。好きです。 人間観察という点で、いいところを突いているな、と感じました。 短編をどんどん書いてください。楽しみにしています。
2010/04/02 09:53 退会済み
管理
[一言] 自分で良いと思えない商品を売りたくないのは共感できます! この男の、もっとダメな姿を見たいです。
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