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レリアの日記




 大陸歴1821年8月22日


 アシュラ様のご家族と初めてのお茶会。

 最初にご挨拶した時にも思ったけれど、王妃様の美しさはやっぱり世界を滅ぼすレベルだと思う。

 それに国王陛下も……色々とぶっ飛んだ伝説をお持ちの王妃様と()()アシュラ様を見て、屈強な暴君だなんて想像していてごめんなさい。まさかあんなにお優しくて紳士的な方だとは思わなかったわ。

 だけど、どうしてこんなに(いい意味で)普通の方があの二人の夫や父親をやっていられるのかしらと疑問に思ったのは間違いだった。

 ご挨拶を差し上げた直後に王妃様が国王陛下の膝の上に着席されたのには本当に目を疑ったわ。

 それに何の疑問も持たないアストラダム王室の皆様と使用人の方々を見て、私がおかしいのかしらと錯覚した程よ。

 まさかあれがアストラダム王室の常識だったなんて!

 アシュラ様に膝の上に座るよう促されて、私は本当に彼を殴りそうになってしまったわ。

 私の国の常識じゃないと言うと、とてもとても残念そうに引き下がってくれたけど……あの落ち込んだ顔は反則だと思う。次に強請られた時に断る自信がないわ。

 すごく疲れたお茶会だったけれど、アシュラ様もアシュラ様のご両親も私のことを歓迎してくれているのが分かるから、とても心地好かった。それに何より、アシュラ様の妹君でいらっしゃるカノン様!

 彼女が天使過ぎて、あんな妹ができると思ったらそれだけでアシュラ様の求婚をお受けしてしまいそうになるくらい、彼女は完璧だったわ!










 大陸歴1823年1月27日


 左手の腕環にもすっかり慣れて来た今日この頃。体調に変化あり。

 まだ確信は持てないから、取り敢えず様子を見ることに。けど、お義母様の目は誤魔化せなかったみたい。

 ニコニコといつも以上に美しい笑顔を浮かべて、お義母様から特別柔らかいシルクをプレゼントされたわ。子供服を作るのにいいんですって。

 お義母様がそうお考えなのなら、多分間違いはないと思うけれど……アシュラ様にはもう少し、はっきりしてからお伝えしようと思う。









 大陸歴1823年1月31日


 医者を呼んだことがアシュラ様にバレた。ひと騒動あった後、懐妊の話をしたらとっても喜んでくれた。うん、喜んでくれたのよ。そう、あれは喜んでいたの。マドリーヌ伯爵が後片付けが大変だと嘆いていたけれど……まさか、あんなに喜んでくれるなんて……

 更にはその後にやって来たジーニーが不吉なことを言い出して、またアシュラ様は大暴れ。宥めるのに大変だったわ。お義母様が問答無用で気絶させてくれて本当に助かった。

 腹の子の魔力のせいで母体が破裂するだなんて。悪い冗談にも程があるわ。

 ところであのジーニーって何なのかしら。本当に変な人。そこまで付き合いが長くはない私でも、彼が相当な変人ということはよく分かるもの。










 大陸歴1824年6月12日


 お義父様から面白い話を聞いたわ! アシュラ様がまだ小さい頃のこと。

 お義父様は、アシュラ様がお義母様に世話を焼かれてるのを見て、嫉妬で引き離したことがあるんですって。

 周囲の誰も気付いていなかったようだし、お義母様の方が何倍も嫉妬を露わにしていらっしゃったらしいから、まさかお義父様が嫉妬しているだなんて誰も思わなかったんでしょうね。お義母様でさえ気付いていない秘密だと仰っていたわ。

 あのお義父様にもそんな過去があるんですもの。息子相手に大人げないことをしたアシュラ様のことは、明日になったら赦してあげようと思う。









 大陸歴1825年7月7日


 今日、凄いことが起こった。

 お義父様とお義母様が、初めて夫婦喧嘩をなさった。

 原因? ……言葉を選ばずに書くと、とってもくだらないことよ。

 要は、どっちの方がより相手を愛しているかって話。

 でも天使のカノンが泣いたことで喧嘩は呆気なく終わったわ。結局、どっちも同じくらい愛していることに落ち着いたみたい。

 流石のお義母様も天使カノンの涙には逆らえないのね……と思ったら、違った。

 お義母様は、お義父様がカノンを慰めるのが嫌だったんですって。自分以外の女に触れるところなんか見たくないって……逆にお義母様が泣く勢いだったわ。……カノンは娘でしょうに。まあ、お義母様らしいけれど。そしてそれを見てデレデレするお義父様もお義父様だけど。

 ところでお義母様、初めてお会いした時と全く容姿が変わってないのだけれど、本当に不老不死なのかしら……?

 そもそも人間なのかどうかもちょっと怪しいと思うんだけど、それは口にしない方がいいわね。

 ああ、子供達が起きたみたいだから、今日はここまで。










 大陸歴1825年11月22日


 今日は待ちに待ったカノンの晴れの日! 

 ウェディングドレス姿のカノンは本当に素敵だった。でもアシュラは終始不満気だったわね。あの人ったら、あんなに目を赤くして。裏でこっそり泣いてたこと、気付かれてないとでも思っているのかしら。

 それにしても……改めて思う。お義父様(父)、アシュラ(兄)、ランシン(従者)、ドラド(師)、ジーニー(遊び相手)、この錚々たるイケメン達に囲まれて育ったカノンが選んだ男はどんな男かしらと思っていたけれど……

 まさかあんなにアレがアレだなんて。予想外だったわ。

 お義母様だけは大爆笑していたけれど……新郎を睨む新婦側の男達のあの怖い目といったら。まあ、本人が幸せなら良いわよね。

 あと、ジーニーが泣いているのは初めて見た。彼って確か、生きている人間の女に興味のない子供嫌いな変人じゃなかったかしら?

 子供の頃から面倒を見ているカノンは特別だったのね。ドラドに慰められているところを見て、なんだか少しほっこりしちゃった。












 大陸歴1830年5月4日


 とうとうこの日が来たわ。

 愛するアシュラが王として即位した。

 王妃として、王冠を戴いた彼の隣に並んだあの時の空気、鼓動、声援、光。何もかもが忘れられない。

 何もしなくていい、居てくれるだけでいい、そう言ってくれる彼だけれど、私にもその重圧を分けて欲しいと思うのは、私が彼を心から愛しているから。

 彼と結ばれて、この国に来て本当に良かった。


 因みにお義父様とお義母様は二人で世界旅行に行くらしいわ。まったく。いくつになってもラブラブなんだから。

 

 


















読んで頂きありがとうございました。

これにて番外編も終了です。


また書籍化の際にお会いできたらと思っております!

最後までありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ずっと続きが読みたくて、でも読んだら読み終わっちゃうから勿体ない…と、もだもだしていましたが最後まで読み終えましたー! とても楽しい物語をありがとうございました! 何かあってもシュリーがな…
[一言] 一般人(聖女だけど)の感覚でアストラダム王家を観察するとこんな感想になるんだ。賑やかで楽しそう。レリアは退屈してるヒマなんかなかったでしょうね。 それにしても後世の歴史家泣かせな日記だこと。…
[良い点] あの夫婦が最後まであの調子だった [気になる点] また最後に気になることを…! [一言] お疲れ様でした!
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