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髑髏領主の仮面の下にはとってもかわいいお顔があります!〜魔力なし庶民派令嬢は溺愛し、溺愛される〜  作者: 阿井りいあ


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髑髏屋敷にようこそ①


 んーっ、今日はとても良く晴れた天気ですね! ああ、良かった。

 せっかくお客様をおもてなしする準備をしてきましたからね。どんよりした天気よりお日様が出ていた方が良いと思っていたので。


 そう、お客様が来るのです。しかも、私の!


 まさかギャレック家に来て自分が誰かをこんなにもはやく招待出来るとは思ってもみませんでしたよ。ふふふ、私のお友達ですよ。楽しみです!


 先日のエドウィン様との初デートはちょっぴりアクシデントがありましたが、とても楽しくて有意義な時間を過ごすことが出来ました。

 そのアクシデント、というのは私がギャレック領に来る際に雇った冒険者のコレットさんとリタさんに遭遇したことなのですけれど。


 あの二人は、私が見知らぬ美少年と手を繋いでデートしているのを、浮気現場を見たかもしれないと驚いたのですって!

 ふふっ、今思い出しても笑ってしまいます。もちろん、あの二人からしたら笑いごとではないですよね。ごめんなさい、もう笑いません。


 それに、私のことを信じてくださったのですよ。私が浮気なんてするわけない、それなら美少年に騙されているんじゃないかって。

 美少年が強敵だと、絶対に敵わないとわかっていたのに私を助けるために後を追ってくださったのだとか。

 本当に感謝しかありません。私はそれがとても嬉しくて、だからお礼をしたいと思ったのです。


 彼らをお誘いした時の理由としては、改めて依頼を受けてくれたことへのお礼ってことにしちゃいましたけどね。だって、ちょっと恥ずかしかったので、つい。


「そんなにソワソワして。まだ約束の時間までずいぶんあるってのに」

「そうはいってもゾイ。初めてのお客さまなのですよ? 楽しんでもらえるといいのですけれど」

「大丈夫さ。ハナ様が彼らのことを考えて準備したんだからね。いやぁ、聞いた時は驚いたけどね」


 私としては実家にいた頃たまにしていたことなので当たり前の感覚だったのですが……私の一般人思考と辺境伯家を同一視してはいけませんよね。我がウォルターズ家は庶民派貴族ですし。


 そりゃあ辺境伯家の者ならもっと、こう……貴族らしい振る舞いやおもてなしをするのが当たり前でしょう。そもそも、冒険者を家に呼ぶこと自体があり得ないらしいのですけれど。


 でもその点については、誰も何も言いませんでしたね。私が彼らを招きたいと言った時、エドウィン様も二つ返事で了承してくださいましたし。

 それと、とある提案も渋々ながら了承してくださいました。うまくいくといいのですけれど。


 ゾイを含めた使用人たちも、疑問に思うような素振りも見せませんでしたね。ありがたい限りです。


 元々、この屋敷の使用人の方々自体が平民の出が多いのも関係しているかもしれませんね。

 それもこれも、実力主義という柔軟な思考をエドウィン様がお持ちだからでしょう。素敵っ!


「おもてなしは、お客様が喜んでこそですから。今日が晴れていて良かったです!」


 なにはともあれ、快く許してくれたエドウィン様には感謝しかありません。準備をしてくれた皆さんにも!


 もし成功したら、今度はエドウィン様も一緒にやってみてもいいかもしれませんね。ふふっ、また楽しみが一つ増えました!


「じゃあ、庭に行くかい?」

「はい!」


 よぉし。おもてなしの準備、頑張っちゃいますよぉ!


 ◇


 こうして、時間ピッタリにギャレック邸にやってきた冒険者の皆さんを迎え入れた私は、早速庭へとご案内いたしました。


「ば、バーベキュー!?」


 そこに用意された光景を見て、リーダーのモルトさんが叫んでおります。ああ、やっぱり驚くものなのですねぇ。わかってましたが。


「ギャレック辺境伯邸で、バーベキュー……」

「い、いいんですか? これは……?」


 コレットさんとリタさんは呆然として呟いております。ローランドさんも口を開けたまま固まってしまいましたね。


 あれ、そんなにですか? 驚くとは思っていましたが、予想以上の反応です。

 私は慌てて付け加えました。


「も、もちろん、エドウィン様から許可はもらっていますよ! あっ、でも。バーベキューは食べながら焼くのが醍醐味ですが、さすがにそこまではさせられないと使用人の方々に仕事を取られてしまいました……」

「えっ、ハナ様もしかしてご自分で焼くおつもりだったんですか!?」

「え? ええ。実家ではたまにやってましたから」


 コレットに言われて答えると、絶句されてしまいました。あらら?


 まぁ、料理長にも「ガーデンパーティーならまだしも、バーベキューを辺境伯邸の庭でやろうとする人は初めてです」って驚かれましたし。

 どうやら私は庶民派すぎるみたいですね。でも良いのです。許可はあるのですから!


「みなさんに楽しんでもらうにはどうしたらいいかなって考えたんです。お屋敷の中は、きっと緊張するでしょう? そう思って……」


 もしかしたら、お屋敷の中で貴族らしい食事会をしたかったでしょうか。

 でもでも、バーベキューで焼く素材はどれも良いものばかりですよ! 豪勢なバーベキューになると思うのです!


「……ぷっ、あはははっ! もう、ハナ様って本当に面白い! 大好き!」

「え? あ、ありがとうございます、コレットさん」


 急に笑い出したコレットさんが何を思ったのかはわかりませんが、彼女が噴き出したことで他の三人もようやく笑顔を見せてくれました。


「本当に。ここまで気を遣ってくださったんだ。楽しまないと申し訳ないぞ、お前ら」

「それもそうね。ありがとうございます、ハナ様。すごく嬉しいです」

「あ、ありがとう、ございます」


 モルトの言葉に、リタさんやローランドさんまでもがお礼を言ってくれました。良かった、喜んでくれたみたいです。


 では、心置きなく始めましょうか! んーっ、私も楽しみですーっ!


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