零
焔皇国
神々と共に生きる国、焔皇国。
人、龍人族、獣人族の三つの種族から成る緑豊かなその国は、神によって封じられた国だった。
その中でも特に力を持つとされるのは、人の中に混ざる不死の一族と言われる者達である。神の血を継ぐとされるそのもの達は、国を纏める存在として絶大なる権威を誇っていた。
藍省、雲省、丹省、桜省、墨省、柑省、菫省、緑省、そして、中央である鳳省の九つの省に分かれた国は、八つの一族によって治められ、中央である鳳省を、神農と、その血族である姜一族が中心となって治めていた。
不可視なる神々の力の影響を受けながらも、焔皇国炎帝神農の治世により平和は保たれていた。
だが、突如として平時の世は崩れた。
獣の姿をした妖魔が陰より湧き出る様になり、更には上位の存在である業魔が世を混沌へと貶めた。
妖魔が陰より生まれるのなら、業魔は人から生まれた。神々の陰の影響により、人の身が業魔と成る。恐ろしいまでに大きく力のある存在は人々を苦しめた。
人を、村を、街を襲い、世は混乱に陥った。
混沌の中、神農は一人の男に命令を下した。彼は、天命を受け祝炎の力を神より授かった者。
彼の名は、姜祝融。
皇帝、神農の八番目の孫。
姜一族特有の大柄な体躯のその身に、炎を纏わせ戦う姿は、闘神を思わせた。戦うために生まれた姿に、誰もが息を呑む。
彼が力を使うと大地が燃えるかと思う程に、空気が熱を帯びた。業魔に立ち向かう彼の姿は勇ましく恐怖は無い。
その異能は、神からの祝福とされると共に、使命を授かると言われた。
使命が何かは自分で考えるより無い。
これは、英雄と呼ばれた男と使命を共にした者達の物語りである。




