<3回目>
自殺したはずなのに、
また転生している。
自殺したらさすがに転生しないと思っていたけど、
また人生をやるのかよ。
でも今回もまた違いそうだ。
とても運動神経が良く、
その中でも野球の才能がある。
この国では野球はかなり儲かるし悪い事では無い。
僕はプロになり、
ドラフト1位で入団した。
ファンも喜ぶ活躍で、
優勝も3回経験した。
しかし、
投手である僕はある時、腕の痛みを感じた。
手術が必要であることを医師から告げられた僕は、
悩みに悩んだ末、手術を受けた。
その後、復帰を果たすが以前のような投球は出来ずに
引退した。
38歳の時だった。
人間には衰えがある、
そして、どんなにファンがいても活躍出来なければ
自分から離れていってしまう。
僕は淋しかった。
自分が注目され、脚光を浴びていた頃を
思い出す度に涙を流した。
若い頃の肉体に憧れを持ち続け
もう一度あの頃に戻りたいという執着を持ち続けた。
しかし、
叶わなかった。
折角手に入れた成功を僕は比較的若い年齢で
手放すことになった。
手に入れてしまったものを
失う怖さを僕は知らなかった。
生まれ変わる前の事を少し思い出した。
そう。
あのブサイクで才能が無かった頃だ。
あの時は失う怖さが無かった。
でも、今は失う怖さがある。
僕にとっての幸せとは何なんだろう。