表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二部開始】10年前に戻ったら再会した幼なじみがぐいぐい来る件について  作者: 空田
10年前に戻ってもきっと世界は変わらないだろう
16/39

佐伯ゆい ①

 また同じ夢を見ていました。

 

『直人くんのことが好きです。わたしの彼氏になってもらえませんか?』

 

『すまん』

 

 その悪夢は、わたしが直人くんに告白し振られてしまうところから始まります。

 必ず成功するとは思っていなかったですが、やっぱり振られてしまったのはショックで……。その日、わたしはたくさん泣いていました。

 そして、告白したその日から、どう接したらいいかわからなくなり、直人くんとは疎遠になってしまったまま10年の月日が過ぎます。

 10年後、わたしは順調に声優になる夢を叶えることができており、忙しい日々を送っていました。

 声優として有名になると、良いことばかりではなくとある男性と熱愛報道されるようになっています。

 でもそんな熱愛報道なんてすべて嘘っぱちで、わたしがその男性と付き合ったりすることはありませんでした。たしかにいろんな男性の方からアプローチはされることはあったのですが、いまいち乗り気になれなかったのです。

 なぜかと考えると、わたしは直人くんのことを忘れることができず、ずっと初恋を忘れることができなかったのだと思います。

 直人くんのことは高校を辞めて地元を離れ、上京しているというのは聞いていました。

 わたしも上京していたので、直人くんといつか再会できるんじゃないかとそんな淡い願望を抱いていた、そんな時でした。


 直人くんが過労死したと母親を通して聞かされたのは。


 わたしはそのことをすぐには信じることができなくて……。

 けれど、地元で行われた直人くんのお葬式で遺影を見た時、その事実を認めてしまいます。

 その時、わたしはほんとに後悔して泣いていました。

 どうして直人くんと一緒にいられなかったんだろう。

 一緒にいれば過労死するまで仕事なんて絶対にさせないのに。

 一度振られたからって直人くんの隣から離れなければ、いつかわたしを好きになってくれたかもしれないのに。

 そもそもわたしを直人くんが好きになってくれるように精一杯アピールできていれば、直人くんはわたしの告白を受けてくれたかもしれません。

 その悪夢があまりにもリアルでしっかりと覚えているせいで、その後悔は夢のことだとは割り切れずわたしの中に、はっきりと残っています。

 だからわたしは決めたのです。夢から覚めたら積極的になって直人くんにわたしのことを好きになってもらえるよう精一杯頑張ろうって。

 そう決めたからわたしは高校に入学してからできるだけ直人くんに意識してもらおうと努力することにしました。

 男の子は上目遣いに弱いと雑誌でみたことがあったので、甘えるように上目遣いをたくさん使おうとしてみました。

 直人くんはもちろん、学校のみんなにも気づかれないように、少しだけお化粧をつけたりもしてみました。

 男の子は相手が好きかもしれないって思うと好きになってしまうと聞いたことがあったので、できるだけ直人くんを好きだっていう気持ちを隠さないで伝えてみたり、直人くんに思いきって近づいてみたりしました。

 直人くんに近づけたのは嬉しかったけれど、とても緊張してしまって……、わたしはうまく笑えていたでしょうか。

 直人くんはわたしと同じようにドキドキしてくれていたのでしょうか。

 ドキドキしても意識してもらおうと頑張ってきたのは、わたしが高校生になったら告白しようと決めていたからです。

 けれど、今まで何度もチャンスがあったはずなのにわたしは直人くんに思いを伝えることができずにいました。

 この夢みたいに振られてしまうのが怖くて……、そしてやっぱり今の心地の良い関係が壊れてしまうかもしれないのは怖いのもありました。

 わたしはいつになったらこの思いを伝えることができるのでしょうか。


短めになったので、今日中にもう一話投稿すると思います


すこしでも面白いと思って頂けたら、ブックマーク・評価(目次下の☆☆☆☆☆を★★★★★に)して頂けると、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ