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御前ミカという人物2

「おかえりなさい、創さん。」


優しい笑みをたたえて、彼女はそう言った。


「ただいま、ミカ。」


ぎこちなく笑みを浮かべ、私もそう言う。嵐の前の静けさってやつだ。さっきから、動悸が止まらない。


「もちろん、私の言いたいことってわかりますよね?その手をどかして、こっちに来てくれませんか?」

「・・・もし、嫌だと言ったら?」

「そんなの創さんが一番よくわかっているじゃない。創さんは私に勝てないくせにいっつも見得張るんだから。」

「いいんだよ、なんだかんだこんな問答を六十年も続けてきて、こっちは未だに貞操帯すらつけられてねぇんだ。意外とミカもこの戦い、楽しんでるだろ?」

「あっ・・・・・・・・ま、まぁまぁはね。」

「えっ・・・。」


嘘・・・結構本気でちょっと楽しんでくれてると思ってたのに・・・まさか六十年の間一度も貞操帯で、私を無力化できると思わなかったのか・・・

しかし、まぁ正直な話そんな道具に頼らずともっていうところではあるし、思いつかないのも当然か。


「き、気を取り直して、行きますよ!創さん!」

「はいはい」

「ルールは簡単に、私が3からカウントしていき、1になった時、戦いを始めるってことでいいですよね?」

「もちろんだ。」

「じゃあ、カウントしますね。」


「3」


こんなことは何十年もやってきている。しかし、私は一度も勝てたことはない。


「2」


それはなぜか?私の能力はあくまで、世界を自分の描く物理法則に書き換えるというものだ。つまり、おぼろげながらにでも、その新しい世界を想像する必要がある。その想像の時間、これが妻に対して無限個ある敗北の要因の一つなのである。


「1」


刹那、私は後方へ飛ぶ。なるべくミカから離れるのだ。離れれば離れるだけ想像できるチャンスは広がる。


「0」


少しいたずらっぽく笑ってミカは言った。

さすがだ、私にハンデをくれたのだ。しかし、これは絶好のチャンス!このまま一気にミカを行動不能にさせるだけの戦力を・・・・・・


気づけば私は晴れ渡る青空を見上げていた。ミカの腕の中で、だ。俗に言うお姫様だっこの状態である。


「捕まえました♡」


はい、いつもこうです。このまま私はスタンさせられ、気づけばベットの上・・・。


「あれ?」

「どうしました、創さん?」


まだ意識がある?ということはまだ反撃の暇がある?この六十年で一度も隙を見せなかったあのミカが?まさか!?


「それにしてもいい天気ですね。創さん♡」


信じ難いが、間違いない・・・

ふははは、とうとう焼きが回ったようだな我が妻ミカよ!ここからが私の本気だ!!!




創さん・・・能力そう分析できてるならナレーションしなきゃいいのに・・・

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