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鬼の娘2
「残念だったねぇ、お嬢ちゃん。鬼の前で一瞬たりとも油断するもんじゃないよ。」
鬼は私の中でカラカラと笑っていた。
「それじゃ、ありったけの苦しみをあたえっ...」
鬼はそれ以来、黙ってしまった。
結論を言ってしまうと、結局その鬼と私は協力関係になるし、今では普通に会話したりするのだが、鬼が私の中で見たもの、聴いたものについては全く教えてくれない。
私は私の中にあるものがなんなのか。それを見て他人がどんな感覚になるのか知ることはできないみたいだ。うーん、とりあえず創さんには1度感じさせてみたいわね。
若い頃には、私の体内に閉じ込めるっていうのはよくやったけど、感覚や思考を共有する事はしなかった。死ぬ前には1度くらいやってみてもいいかしら?でもちょっと恥ずかしいね。もう何年も生きていると、ふとこんな事を思い出してみたりする。眼下には完全に搾り取られた創さんがいる。完全に?私は完全をもう少し拡張することにした。まだまだ夜は続くし、もう少し楽しもうと思った。創さんには少しだけ悪いなという思いもあるのよ。でも、私は自分の思いを止められないの。
難しい




