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イタリア9日目ーミラノから成田ー


   最後の朝


 9日目は飛行機に乗るだけだ。

 しかし、とんでもない事態が発生する。


 起床は5時半。起きてとりあえずメモを書いていた。

 しばらくメモを書いていたら、Nが起きてきた。

 今何時ですか? と聞いてくる。

 僕が6時半だよと言うと、7時半じゃないかと彼は言う。

 そんなはずはない。今まで見てきたスマホアプリの世界時計でも6時半だし、今まで8時間差があった日本時間との差から考えても6時半だ。

 更にNの腕時計も6時半だ。

 でも、NのiPhoneアプリだけがなぜか7時半だった。

 もっと深く考えるべきだったのだ。なぜ突然、今まで全て同じ時間を示していた時計にズレが生じたのかを。


 ここで僕らは時計のズレに大した疑問を持つことなく普通に朝食を食べて、僕の時計で8時に家を出た。

 飛行機の出発は11時20分だったので、結構余裕を持って出発したことになる。

 途中でドゥオーモ広場で写真を撮ろうとか、そんなことを考える余裕さえあった。

 しかし結局やめて、まっすぐ空港に向かう。

 この判断が死命を分けた。

 マルペンサ空港に行くために、ミラノ北駅に着いて驚いた。

 駅の電光掲示板がおかしい。

 8時半に駅に着いたのに、電光掲示板の出発時間表示は全て9時半以降なのだ。

 なにか奇妙だ。

 なにかただならぬことが起こっている。

 そして瞬間的に気がついた。


 これは、サマータイムだ。


 全ての時計を一時間早くするというヨーロッパの風習、サマータイムだ!

 これによって日の出ている時間を少しでも使えるようにするのだ。

 NのiPhoneアプリのみが、サマータイムに対応していた。

 しかし、なぜよりによって今日なんだ。

 明日だったら関係なかった。昨日だったら、そのうち気づけた。

 イタリアを発つこの日この時に知るとは!!

 焦る僕ら。

 9時半の出発に乗り遅れる。次の電車は9時58分だ。

 非情にまずい。

 空港までは電車で30分。10時半に空港について、搭乗手続きをしないといけない。

 国際便は搭乗2時間前には空港に着いているのが普通だ。

 飛行機の出発が11時20分なので、かなりやばい。果たして間に合うのか。

 まるでバック・トゥ・ザ・フューチャーだ。

 いつもギリギリになっちゃうアレだ。

 電車内で気をもんでいたが、そのうち切り替えた。

 間に合わないならまあそれでいい。もちろん間に合わせるために全力は出す。

 というわけで、駅についたら空港内まで全力ダッシュをした。

 10日分の荷物とお土産を詰め込んだキャリーバッグを持っていたので、かなり重い。

 息が上がる。

 しかしそんなことに構ってはいられない。

 大急ぎで搭乗手続きをした。

 スカンジナビア航空の人に「too late!」と叱られる。

 ごめんなさい。

 でも手続きはしてくれた。

 空港内を駆けまわり、手荷物検査も一瞬で終われせて、搭乗ゲートへ到着。まだ搭乗は始まっていない。

 ま、間に合った。

 何とかなったのだ。


   空港


 空港内の喫煙室で一服をしながら、Nと笑った。

 何でもないまま終わるはずだったのに、最後の最後でこのドタバタ劇である。

 無事に飛行機に乗れた僕らは、ミラノからコペンハーゲンへ向かう。

 チャオグラッチェイタリア。

 また来たい。

 そんなことを考えながら、僕らはイタリアを後にした。


 コペンハーゲンではお土産を買って、お昼を食べた。

 会社の土産とか、友人のお土産の追加分だ。

 パスタも食べたけど、イタリアのパスタの方がおいしかったような気がする。

 お土産も食事もユーロで買ったのに、現地の通貨クローネでお釣りをよこすのはやめて欲しいと思う。

 ややこしいではないか。

 そんなこんなで、コペンハーゲンを発ったのがイタリア時間で15時45分くらい。

 いよいよ日本に向かう。

 長かった旅行もいよいよ終焉が見えてきた。

 寝て起きたら成田空港に着いているのだ。


 

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