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イタリア7日目ーミラノシングルコンバットー


   別行動をとる

  

 今日は静かな1日である。

 でも、意味のない一日じゃない。今日は僕に「これから海外旅行に行っても一人でやっていける」という自信を与えてくれた。

 朝起きてまず決まったのは、それぞれ別行動を取るということだ。

 今まで全ての行動の先導役になってくれたNがいない。不安は募るけど、楽しみでもある。

 今日も朝食は味噌汁を飲んだ。心が洗われるようだ。やはり日本人なのだなと思う。味噌汁を飲むだけで、ぽかぽかする。

 朝食を終えて、部屋に戻る。実は昨日から腹が痛くて、それが相変わらず治らない。いつもより慎重な行動が必要だった。部屋を出たのは10時過ぎだ。それまではベッドで眠っていた。

 ホテルを出て向かったのはドゥオーモ広場。Nはそこで両替をした。

 

   ドゥオーモ広場で絡まれる


 二人でまず向かったのはBARだ。スカラ座近くに昨日から目をつけていたBARがある。

 向かう途中で、黒人に絡まれた。セネガル人とのこと。妙にフレンドリーに話しかけてくる。「ナガトーモ!ナカータ!」とか言いながら寄ってくる。

 ミサンガみたいなものをNの腕に巻いていた。プレゼントしてくれるらしい。

 僕がNを待っていると、別の黒人がやってきて、僕にもミサンガを巻いてくれた。

 でも、それで終わるわけがなかった。

 ミサンガを巻いたあと、僕の周りには3人くらい黒人が集まってきて、指をこすりながら「マネーマネー」と言ってきた。プレゼントではないらしい。

 感情の読めない外国人に「マネーマネー」と詰め寄られるのは気味が悪い。

 僕は「ノーノー」と言いながら、無視して広場を出た。

 Nは50セントだけ払ったらしい。

 このあと一人行動をしたとき、何度かミサンガ押し売り外国人に絡まれた。その度に一応挨拶はするけど、ミサンガは絶対に買わなかった。

 それにしても、どういうわけかあの手の外国人にはすぐ僕らが「日本人」だと分かるらしい。僕もこの旅で韓国人と中国人と日本人の区別がつくようになったから、きっとその能力を彼らも身に着けているのだろう。

 厄介なやつらである。そんなことしてないで、真面目に働け。

 ミサンガ押し売りに絡まれたあと、おしゃれなBARに行って、僕らは軽く食事をした。そこでカフェラテとクロワッサンを頼む。クロワッサンが最高においしかった。

 

   日本へ手紙を出そう


 BARを出て、再びドゥオーモ広場に戻ると、僕らは別れた。Nは地下鉄に乗り、僕はミラノの街を歩く。EXPOが開かれているとのことだったけど、場所がよく分からないので結局公園みたいなところを歩き回っていた。

 広くて自然が豊かで、最高の散歩道だった。そこで煙草を吸いながらオアシスの「whatever」を聴いた。その場の雰囲気にとても合ってるなと思った。

 楽しい散歩を終えたアト、僕はエキスポ会場ではなく手紙と便箋を探すことにした。家族への手紙を書くのだ。出かける前に書けと言われたので仕方ない。

 POSTEと書いてある建物に入り、そこで便箋と封筒を買う。POSTEって多分ポストのことだろ?

 じゃああとは書くだけでオッケーじゃん!

 というわけで、POSTE近くのBARに行って、手紙を書いた。一時間くらいいて、小さい紙に三枚の手紙を書く。BARを出るとき9.5€も支払った。もしかして長時間いたからチャージ料みたいものが発生しているのだろうか。

 手紙を書いて、外で煙草を吸っていると、白人の美女二人組に「煙草はないか」と言われた。ほとんどなかったけど一本あげると嬉しそうに去っていった。ああ、英語が喋れたらもっと話したのに!

 この国にいると、立っているだけで、歩いているだけで何人もの人に話しかけられる。カネ目当ての人間も多いけど、普通に気軽に話しかけてくる人も多い。こういうところは大変好きだ。

 POSTEに行っても、さっそく話しかけられた。

「ケータイを買え」と言う。

 僕は「いらん」と言うと、去っていく。よくある光景である。

 インフォメーションで手紙の出し方を聞くと、「ここはPOSTEじゃない。あっちに行った先にPOSTEがあるよ」とのことだった。その人が言う「あっち」に行ってみると、確かに「POSTE」はあった。しかし、閉まっているみたいだった。扉に近づくと、POSTEの前で煙草を吸っていた老婆に話しかけられた。「POSTE」の場所を尋ねると、「ここは違う」と言っていた。どういうこっちゃ。

 結局よく分からないまま、僕は途方に暮れてしまった。時間的にも、もう新しいホテルにチェックインできるから、帰ってしまおうと思った。電車に乗って、ホテル近くに行く。電車の中には楽団がいた。車内で勝手に演奏を始めて、終わったら金を取って回るのだ。なかなかおしゃれな連中である。

 荷物を預けていたホテルケネディで荷物を受け取り、アンナちゃんのいるホテルにチェックイン。部屋に入ってようやく人心地ついた。しばらくホテルの無線LANでネットをやったりしていた。あと、途中のスーパーで買ったポテチとコーラをつまみながら、Kindleでマクベスを読んでいた。

 読み終わって、思った。このまま手紙一つ出せないまま終わったらまずい!

 っていうかベッドでゴロゴロしながらお菓子食べてKindle読むって完全に日本と同じだ。

 思い立ったら行動しないといけない!

 マクベスでもそう言っていた。

 一人じゃ何も出来ないという不安は、今後の旅行に差し支える。

 行くしかない。何としても、手紙を出す。

 地球の歩き方をめくると、何と郵便の出し方が書いてあった。本当に使えるガイドブックである。地球の歩き方は、その後2度の海外旅行でも大変世話になった。

 地球の歩き方によると、イタリアの至るところにあるタバコ屋で切符を書い、ポストに投函するそうだ。そうだったのか。全然知らなかった。

 とりあえず近所の煙草屋を二件ほど回るが、何と切手はないという。

 なん……だと……?

 外はわずかに雨が降ってきたし、困った。

 しばらく歩きまわると、足が痛くなってきた。歩きすぎているのかもしれない。

 どうしようと思って、三軒目のタバコ屋に入ると、ちゃんと切符を売ってくれた。

 2€である。

 よ、よかった。そこで糊も貸してもらい、切手を張って、封筒に封をした。

 ポストはもう見つけていたので、そこに投函。空港便と書くのも忘れなかった。

 封筒には三ヶ国語が書いてある。「空港便」はイタリア語。「TO JAPAN」が英語。住所と宛名は日本語である。なかなか趣深いな。

 とにかく、無事に手紙を出せた僕はほっとして帰路につく。

 

   日本と同じように過ごしてみる


 一仕事終えて安心したので(手紙を出しただけ)、心置きなく日本と同じ生活をしてみた。

 ベッドで横になると、パソコンをホテルのWi-Fiに繋ぎ、ニコニコ動画でFF8のノーダメクリア動画を見た。

 そのあと風呂に入って、引き続き遊んで、しばらくしたらメモを書き始めた。

 書いてる最中にNが帰宅。20時過ぎであった。

 Nは電車でスイスまで行ってきたらしい。さすがである。

 帰ってきたNと一緒にピザ屋に行き、テイクアウトで頼む。ビールももらって、部屋で飲みながら食べた。

 アンナちゃんに手紙とプレゼントも渡した。サッカーのチケットも受け取った。かなり前の方の席だ。

 やばい!!テンション上がる。

 ヨーロッパサッカーは、実ははあまり見てないけど、上がらざる得ない。

 実にミーハーである。

 よく考えたら、サッカー観戦がこの旅のメインイベントだ。

 インテルVSユヴェントス

 素晴らしい試合を期待する。長友も出るかもしれない。

 最後を締めくくるのに相応しい舞台が、今整った。

 

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