イタリア5日目ーベネチアからミラノへー
ベネチアの朝
イタリア旅行5日目の起床は5時。起きてしばらくはメモを書いた。
ベネチアについてボロクソに書いたことで、少しだけ気分が晴れた。朝食はホテルで取る。パンとコーヒーにヨーグルト。うまい。
部屋に戻ると、ベネチア探索の準備を整えて出発。スーツケースなどの大きい荷物はホテルに預けた。レッスンワン。「Can you keep my baggage?」
荷物を預けると、デイパックを背負ってベネチアの街へ。とりあえず外に出て一服する。改めて街の様子を眺めて思う。
綺麗だなぁ。
美しい街の残骸と肥大化したテーマパークと書いたが、やっぱり綺麗なんだよな。
せこい。こんだけ綺麗なんだもん。僕らの泊まったホテルは、大通りからかなり外れたところにあるから、人通りが少ない。だからこそ、ベネチアの美しさがよく分かる。
サン・マルコ広場に行くと少しげんなりする。やっぱり人が少ない方がいい。
朝、サンマルコ広場まで向かう道はとても美しかった。道行く人々が忙しく、これから訪れる大量の観光客を迎える準備をしている。生活感があった。ベネチアに来て、朝ホテルからサン・マルコ広場に向かう道すがらにだけ、僕はベネチアの生活を見た気がした。
最初に向かったのはサン・ジョルジョ島。僕的ベネチアの最大の目的地サン・ジョルジョマジョーレ教会を目指す。イタリア行く前は一番の目的地だったけど、最早割りとどうでもいい感じになった。水上バスに乗って、サン・ジョルジョ島へ行く。美しい町並みを海の上から眺めながら、写真を撮る。僕としては大して興味もないけど、みやげ話程度には使えるだろう。
僕はベネチアに対する思い入れもなくなったし、興味もなくなったけど、功利的な理由で写真を取りベネチアを見て回っている。きっと日本に帰って友達に会ったら言うのだろう。
「ベネチア最高だったよ」って。恐ろしいことである。
よくないことだ。自分が本当に好きじゃないものを、大衆的な価値から「好き」と言いはり、利益を得る。
大しておもしろくないけど、世界的に有名な映画を「良かった」と言い、何ら心に響かない絵画を見て「美しい」と吐息をもらす。
よくないことである。己の感性に素直になりたい。
サン・ジョルジョマジョーレ教会
サン・ジョルジョマジョーレ教会はジョジョ第5部でブチャラティとディアボロが対決した場所である。
ブチャラティが登ったエレベーターを登り、ジョジョ立ちをして遊んでいた。写真もたくさん撮った。
サン・ジョルジョマジョーレ島には手入れのされてないサッカー場があった。かつてベネチアに住んでいた子どもたちが使っていたのかもしれない。荒れ果てたサッカー場は、ベネチアの過去と未来を暗示しているようだった。
再び船に乗って別の陸地に行き、BARに入る。カフェラテ一杯で3.5€もした。高い。
ベネチアでは他にサンマルコ寺院にも行った。世界的に有名な壁画や絵画を大量にある。中世の武器屋防具もあり、カサノヴァが投獄された牢屋もあった。
でも、観光客でごった返すサン・マルコ寺院には、サン・ジェスト教会で感じた神性はカケラもなかった。とても凄い絵だとは思うけど、それだけだった。
ベネチアを出てミラノへ
文句ばかり書いていたベネチアだけど、いいところもある。サン・マルコ広場からかなり西に行ったところにあるBARは安くておいしい。店員もいいやつだ。ベネチアの街で食事したのは2回だけど、2回ともここで食べた。あと、トルコ人が営む仮面屋も感じのいい店だった。13€で仮面を買った。高いかな。じいちゃんか弟にあげよう。
ベネチアを出たのは16時だ。メストレに戻って、電車に乗る。メストレに行くまでのバスで、酔っぱらいが乗ってきた。イタリア語で別の乗客と何か口論をしていた。貴重なものが見られた。酔っぱらいはダリオ・ブランドーみたいな雰囲気で、すごくダメっぽくて良い感じだった。
メストレからミラノ中央駅の間は神林長平の「グッドラック戦闘妖精雪風」を読んでいた。
ちょっと読んだところで、眠くなったので、寝た。疲れているのかもしれない。
セックスショップ
ミラノの駅に着くと、とりあえずホテルを目指す。泊まったのはホテルケネディ。初日に泊まろうと思って満席だったホテルだ。狭くてトイレが臭い。ベネチアのホテルよりも更にひどい。ドミトリーと言うらしい。幸い他の客がいなかったから良かった。
荷物を置くと、初日に食べたピザ屋でピザとビールを頼む。やはりおいしい。
イタリアに来て一番うまいピザである。
ピザ屋を出て、まだ時間があったので、同じ通りにある「SEX SHOP」という店に行った。
どストレートなネーミングである。もちろんアダルトグッズ専門店だ。店に入る。僕らはイタリアらしく「チャオ!」と行って入店。
店内にはイタリア人の老夫婦がいて、笑顔でチャオと迎えてくれた。とてもアダルトショップとは思えない爽やかさである。僕らは店内を眺めて、極太黒人バイブを見ながら笑っていた。2階に行くとAVのコーナーがある。海外のAVと言えば、「イエス!イエス!オー!イエ〜ス!」ってイメージだ。あまり見たことはない。僕らがAVコーナーを眺めていると、一階からじいさんが上がってきて、イタリア語でAVの説明をしてくれた。僕らが日本人だと言うと、日本人のAVも見せてくれた。
このじいさんはとにかくすごくて、店内の1000本はあるAVの配置を全て覚えているみたいだった。AVのジャケットを次々と見せながら、早口のイタリア語で「これが素晴らしい」とか「最高だった」みたいなことを言っていた。
AVの種類もバラエティ豊かで、白人黒人アジア人、レイプ、ロリ、ホモ、獣姦、妊婦、スカトロと揃っているようだった。ジミ・ヘンドリクスが出演しているらしいAVもあった。
それら全てについてイタリア語で熱く語っていた。何を言っているのかはよく分からないが、とんでもないスケベじじいであることは分かった。
僕らはしばらくジャケットを眺めてから、店を出た。出るときに「チャオ!グラッツェ」と言うと、じいさんは「チャオ!グラッツェ」と明るく返した。いいじいさんである。イタリアのオープンスケベはどこまでも爽やかだ。
ミラノの夜
SEXショップに行ってもまだ時間があったので、少しミラノの街を散歩した。
ぐるっと回って帰ってきた。夜のミラノは洗練されており、とても美しい。
ホテルの部屋に戻ると、サッカーのチケットを取ってくれたannnaちゃんへの手紙を書いた。
その後風呂に入って眠った。
疲れていたのか、メモもろくに書けないままだった。
この日は全体的に疲れていたのかもしれない。
とにかくぐっすり眠りたい気分だった。