表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

イタリア10日目ー成田から家へー


   家へ


 楽しいイタリア旅行も、今日で終わりだ。

 長くて短い、イタリア旅行だった。

 飛行機の中では眠りつつも本を読んでいた。

 中島義道の「哲学の教科書」だ。この人の本は何気に好きで、よく読んでいる。中島義道は、近くに居たらどう見ても偏屈なおっさんで近寄りたくない感じなんだけど、書いていることは素晴らしいし、気持ちがいい。

 世の中の、当たり前の前提を疑い、疑問を呈するところが好きだ。

 あんまり関係ないけど、帰属意識がとても低い人っていると思う。

 僕もそうなんだけど、何かに対する帰属意識が低い。会社対する帰属意識も低いし、僕が属していると思われる他の集団に対しても、低い。

 この帰属意識の低さって、「どこにも居場所がない、自分の場所はここじゃない」って意識だと思う。

 妙な疎外感というか、孤独感が、僕に中島義道を読ませる。

 これは暗い話でもなんでもなくて、誰にでもあることだと思う。

 多くの人が自分の属している集団に多大な帰属意識を持っているわけじゃないと、僕は考えている。

 だから、中島義道みたいな変な人の本が売れているわけで。 

「ここじゃないなぁ。何か違うんだよなぁ」と思っている人は、中島義道を読んでみるとおもしろいかもしれない。


 あと、神林長平のグッドラック戦闘妖精雪風も読んだ。

 神林長平は大好きな作家である。人類と謎の生命体ジャムとの戦いを描いた作品で、硬派かつ素敵なSFである。

 雪風が主人公に「私を信じろ」と言うシーンはしびれた。とってもおもしろいので、こちらもオススメである。


 そんなこんなで本を読みつつ眠りつつ、成田空港についたのは9時くらいだった。空港から降りると、パスポートに判子を押して貰う。そこには帰国の文字が。帰ってきたのだ。

 成田で自分のスーツケースを探していると、税関の麻薬犬がうろうろしていた。コペンハーゲンから来たもんだから、オランダ経由で麻薬を持ってきたと考えているのかもしれない。

 税関の麻薬犬にケツの回りをうろつかれる経験はなかなか珍しい。

 手荷物検査をして、税関を通過するとき、ご協力ありがとうございますと言ってきた。

 僕もありがとうと言った。日本語が通じるんだ。当たり前だけど、感動する。あまり意識してなかったけど、自分の国の言語が使えないってのはかなりのストレスになるものだと思った。

 

 税関を抜けると、ようやく成田空港を歩き回れる。

 僕らがまず探したのは喫煙所。そこで一服。うまい。そのあとWi-Fiを返却。

 さらに電車に乗って、成田駅で降りた。なぜかと言えば、銭湯に行くためだ。

 そこで旅の疲れを癒して、一杯やって帰ろうってわけだ。

 僕らは歩いて銭湯まで行き、風呂に入ってビールを飲んだ。

 最高の気分だった。久しぶりに白いご飯でソースカツ丼を食べる。涙がでるほどうまい。

 ビールもキンキンに冷えており、体中に染み渡る。

 日本に帰って来たなって感じがした。


 とてもいい気分だった。Nは少し寝ていくというので、僕は一足先に帰った。

 地元の駅に着いたのは18時くらい。三省堂でベルセルクの新刊を買い、父親に車で迎えに来てもらった。

 家に帰るとまた風呂に入って、夕食を食べ、旅行のことを軽く話してお土産を渡した。

 いつもの家に帰って来て、家族と話している。

 イタリアに行っていたのが夢みたいだった。

 非日常から、日常に戻って来た。

 不思議な気分だった。

 いつものベッドでいつものように、マンガを読みながら眠った。

 旅は終わったのだ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ