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灰色姫  作者: 糸間屋
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ハイテク灰かぶり姫

※魔法の道具は貴族とかの間では流通してる



あるところに両親を亡くし、義母と義姉たちと住む少女がいました。

義母たちは少女に家事を押し付けますが、なんということでしょう

もともと機械いじりが趣味だった少女は、自動で家事をこなす魔法の道具を発明してみせたのです。


魔法の道具をほかの家にも売りつけ、うはうはな生活をすることになった一家。

ちなみに少女は生活の危機も去り、家事もしなくてよくなったのでこれ幸いと引きこもり生活に突入し、そのうち「灰色姫」と呼ばれるようになりました。


さて、そのころ王宮では年頃の王子様の嫁選びが話題の的だったりしました。

国中の未婚女性を招待する舞踏会の告知がなされ、国中が浮き足立ます。


そんななか「灰色姫」は、新作の魔法の道具製作にいそしんでいました。

彼女が目指しているのは引きこもりの強い味方、ワープ道具の完成です。

その第一回目の長距離運転は、舞踏会の日、王宮に決めていました。

部外者がいてもちっともおかしくないし、れっきとした未婚の娘である灰色姫は招待状をもらっているのです。

全自動ミシンがドレスを縫う音を聞きながら、彼女はその日を待ちました。



そして舞踏会当日。

「……どうしましょう」

灰色姫は見知らぬ建物の中で途方に暮れていました。



国中の娘が心躍らせる中、違う意味で心躍らせていた彼女は、義母たちをしっかり(カメラ越しに)見送った後でワープ道具を起動させたのです。

動作におかしなところはなかったのできっと王宮には着いたのでしょう。


ところが、初めての長距離ワープのせいか、魔法の道具の気まぐれか、自分の屋敷に戻ろうとしても、ワープ道具がうんともすんともいいません。もとより道具のテストに来たので、帰れなくなるパターンもありうることでした。


「では、夜中12時の鐘が鳴ったら、諦めて歩いて帰ることにしましょう。さて、動かない原因は……これは、そもそもの動力が足りないのもあるけど、人を乗せる機構が壊れて安全装置が作動してしまっているのですね。何か代わりになるものを探さなくては」

「こんなところで何を言っているんだ?」


本人以外にはわけのわからないことを呟いていた灰色姫に、もっともな声がかかります。みれば、同じころの年と思われる少年でした。

ちなみに、本日の主役である王子様の顔くらいはさすがに灰色姫も知っていますが、どう見ても別人です。

これ以上不審に思われないよう、できる限りにこやかに微笑んで彼女は切り出しました。

「すみません、迷ってしまいました。案内をお願いできますか?」


運のいいことに、少年は王宮の構造に詳しいようでした。おまけに、灰色姫のおよそ道に迷った娘が口にしないだろう頼みごとに面白がって応えてくれたので、とりあえずの動力となるネズミと、動力の位置を安定させるトカゲは簡単にそろいました。人を乗せる部分は、中庭の大蓮と壁に這ったツタを組み合わせます。


こうなればもう王宮にとどまる用はありません。久々の長い外出で疲れた灰色姫は早く家に帰りたくなっていました。

道具を起動し、そろそろワープができるようになるというとき、少年が何かを投げてよこしました。

「今度は俺も乗せてくれよ!」

なるほど、もっともな願いです。手伝ってくれた感謝もあり、外出で疲れていたのもあり、深く考えず投げられたものを受け取った彼女は肯定を返して、次の瞬間王宮から消え失せていました。



さて、いわゆるシンデレラストーリーなど、そうそうこの世にはないのです。

義姉のヒステリックな叫び声から、件の王子様が隣国の王女様を結婚相手に決めたという情報を読み取って、灰色姫は改めてそう思いました。

今日も今日とて彼女は、道具の試作品で埋まった部屋で埃やら煤にまみれて機械いじりをしてを過ごすのです。


最近の彼女の目的は、物体を特定の場所へピンポイントでワープさせることです。

件の王子様は第一王子であり、第二王子は自分と同じくらいの年齢だとか、

第一王子様は隣国の王女様に、代々伝わるガラス製の指輪を渡したとか、

そういう事を聞いてから、あの日少年に渡されたものを見るたびに悪い予感がしてたまらないもので。




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