ミッション マウンテン鈴を倒せ!
「ちーっす。」
部室を開けると部長と目が合った。
「あら。もう風邪は治ったの?」
「はい。一日で治るなんて誰かにうつったんですかね。」
「それは妹さんの事かしら。」
「可能性は高いですね。」
まだ部室には部長しかいない。全く鈴と裕二は何をしてるんだ。
席に着こうと椅子を引いた時。ふと、視線に捉えたものに一瞬硬直してしまう。
「……な、なんで…?」
俺の目に映っているのは、赤くて丸めのフォルム。目玉が異様にデカくて明後日の方向を向いている奇形児としか言いようがないであろう不気味な面。水中を体を捻じりながら優雅に泳ぐお魚…もとい、金魚がいた。
俺はこの金魚を知っている。
だって昨日俺、あれになってたんだもん。
「…ん?あー。この子はね。昨日から来た金ちゃんよ。可愛がってあげてね。」
部長は軽く説明をした後、立ち上がって水槽の傍に立つ。
「…。」
俺は言葉を失った。まさに驚愕。なにこれ正夢?それとも超能力とかに目覚めちゃったの俺?
「……どうかしたの?もしかして金魚は嫌い?」
「い、いえ。そうじゃないん……ですけど。」
言うべきなのか?……いや、ダメだろ。
夢で見た事が本当にあった事なのかは聞けば確かめられるだろう。だが!…だがだ。夢で見た事と言えば、シューティングゲームをする三人と、鈴のしたぎすがっ……じゃなくて!コスプレ姿だ。
やはり聞けないな。着替えを見ていた疑惑をかけられたら困るしな。通報されるかもしれないし?
……この事はそっと胸にしまっておこう。
「お!憐太来てんじゃん!」
騒がしい奴が入ってきた。
「ん?お前誰だっけ?」
「嘘つけぃ!風邪で記憶喪失になるわけないだろ!」
「…お、思い出せない……誰なんだお前はー。」
「演技下手くそだなおい。棒読みだぞこら。」
「あれ?そういや鈴は?」
「スルーかよ。……まぁ、それだけボケられれば元気って事だな。あいつは手紙持って屋上の方行ったぞ。」
「手紙?……決闘かな?」
「そうかもな。そうじゃないと思うけどそうかもな。」
裕二は呆れた様子で俺を見てきた。俺の後ろからはため息が聞こえてきた。
「どっちもあほね。ラブレターでしょ?鈴ちゃんモテるそうだし。」
「ら、ラブレター?あの鈴に?誰が?」
「知らないわよ。……見に行く?」
また楽しそうな笑みを見せる部長。
それに俺と裕二は即賛成し、俺達は屋上へと向かった。
悪い事をしている気は皆無。恋に勇気を出した思春期男子の気持ちなんて考えもせず、屋上の扉からこっそりと覗き込んだ。
俺、裕二、部長が団子三兄弟みたいになって、開けた扉の隙間から覗くと……。
「なぁ、いいじゃんよー。他に付き合ってるやついないんだろ?好きな奴もいないって聞いた。俺、そんなにだめに見えるかな…。」
高身長、スポーツマン体形のイケてるメンズが鈴に言い寄ってる場を目撃してしまった。
「誰だあのイケメンは。」と俺。
「三年、バスケ部部長の円藤雅也。外見内面とも良くて女子にキャッキャ言われてる文字通りのイケメンよ。」
「なるほど……断る理由が無いじゃないか。」と俺。
「……そうだな。」と裕二。
身振り手振りで必死に鈴に思いを伝える円藤?先輩は情けなくも見えたけど……いや。やっぱかっこいいな。自分の気持ちに素直で必死になれる先輩はかっこいいと言わざるを得ないだろう。
「ごめんなさい円藤先輩。私……実は好きな人がいるんです。だから…。」
「えぇ!?」
「えぇ!?」
俺と円藤先輩の驚く声はほぼ同時だった。
「……そ、そうか…誰か聞いてもいいかな?」
「馬鹿な奴……としか…。」
「それじゃ…勝ち目ないなぁ…。」
一方、俺は。一つの可能性に気づいて目を見開いていた。
……馬鹿な奴……まさか…まさか…こいつ!?
上を見上げて裕二と目が合う。
「なんだ?」と裕二。
「お前…だったのか。」
裕二は頭上にはてなを浮かべ、数秒間を空けて意味を察したのか頭突きしてきた。
「いってっ!?なにすんだよ!」
「ちげーよ!」
「二人とも静かに。見て。失恋男が本性を出すわよ。」
部長の言葉で俺と裕二は視線を正面に戻す。そこには。
「それでも俺は諦めない!……俺は本当に君の事が好きなんだ!きっと、君が好きな人より君を大切にする。絶対に嫌な思いはさせないよ!」
円藤先輩は鈴の両肩を掴んで急接近し思いを爆発させ始めた。
手紙で呼び出した割に積極的な円藤先輩。いや、むしろそういうタイプの人間の方が気持ちが爆発した時怖いのかもしれない。
鈴は驚き戸惑い、目を見開いて動けないでいる。
……俺は知ってる。鈴がこういう時動けなくなるのを。いつも暴力振るって溌剌少女やってるくせに、こういう時は女の子になるんだ。……って鈴は端っから女の子だったな。
「おい!憐太!」
後ろで呼ぶ裕二の声を無視して、俺は無意識的に足を前に進めていた。
なんて言うのかな。目の前でパチン!ってされたら目を閉じるみたいな?前のめりに倒れたら足が出ちゃうみたいな?そんな感じの反射みたいなものが働いたんだ。鈴が困ってたらどうにかしようとしてやる。そんな使命感が俺を円藤先輩の傍らまで運んだ。
「……憐?」
二人の視線が俺に向く。
円藤先輩の肩を掴んで俺は言う。
「すいません先輩。こいつあほなんで、そういうのしても効果ないですよ。……だから、手。放してやってください。」
「……誰だお前。」
先輩は俺を見るなり目つきを鋭くする。
「せ、先輩?顔怖いですよ。……そいつは部活仲間……じゃなくて、俺の母ちゃんです。」
「は?」と鈴。
真顔で言い切った俺に、先輩は憤慨し胸倉に掴みかかってきた。
小柄で非力な俺は軽く持ち上げられる。
「くっ……あの、暴力は良くないと…っ思います。」
「覗いてたのかお前。……見てたのか!あん!?」
先輩は完全に我を忘れている。思い通りにいかない事に腹を立て、自分の力の無さに腹を立て、その怒りを第三者の俺に向けている。
……うん。はっきり言ってピンチだ。このままじゃ殴られちゃう。
「いや、たまたまですよ。屋上から街を眺めたい気分だったんです。黄昏たい気分だったんですよ。」
「ざけんなぁ!人を馬鹿にしやがって……。いい加減にしろよ?」
「……はぁ。一つだけ言いたいんですけど。……八つ当たりっすよね?これ。」
「だったらなんだってんだよ……。」
「好きな人の前で見っともないと思います。もう可能性はゼロに近いですよ?」
……何言ってんの俺?馬鹿じゃないの?あほじゃないの?これ、殴られるよ?絶対に痛いよ。病み上がりの体には効くよ?……やばいやばい!先輩が腕を上げた!殴るポーズだぁ!
「ちょ、ちょっと待ってください!殴るのはよくなっ!」
先輩の拳が近づいてきて反射的に目を瞑る。
が。いつまで待っても顔面に痛みがこない。
恐る恐る目を開けてみると……鈴が先輩の振りかざした腕を掴んでいた。
「いい加減にするのは先輩ですよ。」
「え、…お、俺?」
刹那。鈴のボディブローが先輩の腹部を襲う。
先輩は体をくの字に曲げ後ろに吹っ飛ぶ。俺は途中で胸倉を解放され投げ出された。
苦の叫びを上げる事さえ許されず、大空の下で大の字で寝そべる先輩。というか……おそらく気絶してるだろう。
「い、痛いんすけど。」
俺はコンクリートに後頭部を打ち付け、昨日と違った痛みに顔をしかめていた。
「……殴られなかったんだから感謝してよ。」
「ったくよぉ。……ま、いいよ。部室いこーぜ。」
念のため、円藤先輩の生死を確認してから頭撫でながら踵を返す。後で先生に報告して回収してもらおう。
「ねぇ憐……。」
「んー?」
立ち止まって俯く鈴。俺は歩みを止めて振り返る。
「き……て…の。」
「聞こえないんですけど。」
「だからっ、さっきの聞いてたの!?」
上げた顔は赤く染まっていた。スカートをぎゅっと握って尋ねてきた鈴は恥ずかしがっている様子。
「お前の好きな奴が馬鹿だってことか?」
「っ!?」
鈴は耳まで真っ赤にして驚愕を顔に浮かべる。
「知らなかったよ。……お前がな。まさか……。」
「い、いやっ。そ、その……っ!?」
「裕二に惚れてるとはなっ!まぁ、頑張れよっ!はっははー。」
俺は鈴の肩を叩きながら高らかに笑う。
すると、鈴は再び俯いたと思ったら肩を震わせ始めた。
「ん?……なっ、ぐはっ!?」
華麗なショートアッパーが俺の顎に炸裂。殴られる瞬間に見えた鈴の顔は、怒りと羞恥と怒りが混ざった何とも言えない表情だった。
その後、足音を荒げながら去っていく鈴を、薄れゆく意識の中で微かに捉えて俺の今は数十分後に飛ぶ。
因みに、俺と円藤先輩はその後たまたま屋上にやってきた先生に保健室まで搬送された。
「おい鈴!応援してやった俺になんてことすんだこのやろぉお!」
部屋中に響き渡るドアが開く音。とぼけた顔をしている鈴を指さして叫ぶ俺。まだ頭が痛い。
「……ふんっ。」
数秒俺を見つめ、そっぽを向きやがる鈴。
怒りが爆発しそうになった時、苦笑いする裕二が目に入る。
そうだ。確か鈴は裕二が好きだったな。これ以上ここで事を荒げるのは良くないな。
吐き出しそうになった言葉を寸前で飲み込み、どうにか怒りを静める。
「よく静めたわ。ところで憐太君。その頰が赤くなってるのはなぜ?確か……殴られたのは顎じゃなかった?」
「あ、ほんとだ。……あれ?なんで部長が知ってるんですか?」
部長は口元を手で隠して目を逸らす。鈴の訝る目を受け流すつもりだ。
「……保健室で円藤先輩に殴られました。」
そう。先生に俺と円籐先輩は保健室に運び込まれ、ベッドに寝かされた。先に起きたのは言わずもがな先輩だ。
先輩は無防備な俺を目にした時、何を思ったのだろう。
俺の左頰に怒りの拳をかまして去っていった。
「災難ね。」と部長。
その通りだ。まさか男に本気で殴られる日が来るとは思わなかった。
「まぁ、部活しましょーよ部長。」と鈴。
「元はと言えば、あの野郎に告白されたお前のせいだ。俺に謝れ。」
「はー?黄昏たい気分だったとか言ってたけど、どーせ覗いてたんでしょ?なら自業自得よ。そもそも、勝手に出てきたのは憐でしょ。」
「お前がてんぱってたから助けに入ってやったんだ。ほら、さっさと俺に謝りやがれ。」
「助けてなんて言ってない。」
「んじゃあ、俺が助けなかったらどーしてたって言うんだよ。」
「…そ、それは……。」
「二人とも。痴話げんかはやめて。」
呆れた顔で腕を組む部長。俺と鈴の視線は自然と部長に向く。
「勝負はゲームで決める。それがこの部のルールでしょ?」
「いや、そんなルール知りません。」
「今作りましたよねそれ。」
「いいじゃん。ゲームで決めろよっ。どーせ言い合ってても解決できないんだからさ。」
ゲームか。俺……こいつにゲームで勝ったことあんま無いんだよね……。
「憐。ゲームで勝負で決めよ。」
「なんのだよ。」
「負けた方は卒業するまで勝った方の言いなり!」
「待て待て。それはやりすぎだろ。こんなゲームで決める事じゃないだろ?命のやり取り並みの勝負じゃねーかっ。」
「鈴ちゃん?自分が負けた時の事考えないと後悔するわよ?」
「えー。じゃあ、負けた方は勝った方の欲しいもの何でも一つ買う。」
「目的ずれてるよな?喧嘩のけりつけるでいいじゃん。負けた方がさっきはごめんなさい、で。」
「いや。絶対譲らないっ。」
「譲れ。」
「いや。」
「譲れ。」
このやり取りを十回ほど繰り返した。そこで、部長が見兼ねて言う。
「裕二君。あなたが決めなさい。こういうのは第三者が決めるのがベストだと思うわ。」
「俺でいいんすかっ?」
「ちょっ。部長!憐得なやつに決まったらどーするんですかっ?」
「俺は賛成でーす。」
抗議する鈴を無視して、部長は裕二に早く決めろと視線で促す。
「んー……。そうだっ。負けた方が好きな奴に告るってのはどーだぁ?」
「はーい。質問でーす。……好きな奴がいない俺はどーすればいいですかー?」
「その時になったら作れ。女を思い浮かべて……最初に浮かんだ顔が好きな奴って事で。」
「はーい。質問でーす。私が勝ったらそこのミスヘアーを半殺しにしたいんですけどぉ、してもいいですかぁ?」
「だめです。お前の半殺しは皆殺しに聞こえるからだめです。あと、ミスヘアー言うな。これはファッションで俺のチャームポイントだっ。」
「許可します。」
「ちょっ部長!!?なんで許可するんですか?」
「決めたのは裕二君よ。でも、無条件で決めていいとは言ってないわ。……まぁ、ゲームの方は私が決めたから、二人とも準備はいいかしら。」
「やってやるっ。」
「絶対負けないっ。」
「あの、俺まだ心の準備が……。」
こうして、俺と鈴の勝負は始まった。
部長が決めたゲームは『ハイスピードレーシング』と言うレーシングゲームだ。
約三百キロでコースを駆け抜けるゲーム名通りのハイスピードゲームだ。
俺と鈴はアカウントを持ってない。だから今回は俺が裕二の端末。鈴が部長の端末でプレイする。
まずは自身が乗る車を決める。俺はRX-7だ。カラーはホワイト。
鈴はシルエイティのブルーに決めた。そう言えば……頭○字Dは全巻読破してるって前言ってたな。
互いにポケットWi-Fiを準備し、オンライン対戦モードで勝負開始だ。
「この手のゲームはあんまやった事無いけど。この勝負、頭○字Dを読破してる私の勝ちね。」
「……今更だけどさ。この勝負、目的ずれてるよな?負けたら好きな奴に告白って中学生の修学旅行かよ。せめてさっきはごめんなさい、も言おうぜ?な?」
「負ける気がしないからいいよ。言ってあげる。憐が勝ったらね。」
さぁ、始まりましたっ。このゲーム。実況は俺、金城裕二。解説は……「私、本堂紗香が務めます。」
まず、二人が選んだコースから説明しましょう。
コースは緩やかなカーブが多い初心者向けコース。ヘアピンカーブはラストに二回あり、そこを上手く乗り越えられるかどうかが勝負のカギになります。圧倒的なドライブテクニックが無い限り、均衡した勝負になると予想されますねっ。
さぁ、ローディングが完了し、スタート前カウントダウンが表示されました。
部長。この勝負、どっちが有利だと思いますか?
「私と裕二君の端末は大体同じ進行度ですから、プレイヤーの腕次第ですね。二人がレーシングゲームをしてるところを見たことが無いので何とも言えません。」
そうですねー。俺も見たことがないんでさっぱりわからないです。
まずはスタートが重要なポイントですかね。
3……2……1……Go!
おーっと、最初に飛び出したのは鈴のシルエイティ!憐太のRX-7は少し遅れて鈴を追う!
「これはまずいわね。鈴ちゃんは差を広げるつもりはないみたい。」
なんと言う事だぁ!先を走る鈴は一定のスピードを保ちながら憐太が抜かそうとした時に前に出て妨害している!これは卑怯だぁ!
「うっさい!黙れミスヘアー!」
野蛮だぁ、野蛮すぎるぞ門田鈴!!実況の俺に暴言を吐いてきたぁ!ところで……憐太は何をしているんでしょう。鈴のスピードに合わせて後ろを金魚の糞のようについている。これは……どういう事でしょう。解説の部長、どう思いますか?
「恐らく、憐太君はラストスパートにかけたんでしょう。緩いカーブでは抜かすことができなくても、ヘアピンカーブなら一瞬のミスで抜くことができる。そこで勝負するつもりなんでしょう。」
なるほど。これはつまらない勝負になってきました。
約三分後。
だらだらとレースを続け、もうコースも終盤に差し掛かってきました。そろそろ憐太が勝負をかけているヘアピンカーブの一つ目ですね。
「上手くドリフトを決めなければ追い抜くのは厳しいわ。憐太君のドラテクがどれほどのものか、見させてもらいましょう。」
おーっ!憐太がスピードを上げたぁ!抜くつもりなのかぁあ?鈴も抜かせまいと右に左に妨害する、ついでに体も右に左に傾ける!
あーっと、カーブ寸前まで憐太を妨害していた鈴は綺麗にドリフトを決めたぁ!一方、憐太はドリフトに失敗し僅かに遅れをとるぅ!
これで憐太の勝ち目は微かなものになってしまった!すぐに訪れるヘアピンカーブにて、この勝負は決まるだろう!
「……憐太君は何を考えているのかしら。さっきのドリフト、わざと下手にしたように見えたわ。」
それはどういう事でしょう。まさか、憐太は負けようとしている!?
「それはわからないけれど、次のヘアピンカーブで理由はわかるわ。」
そうですね……そのカーブも目前となってきました。っ!?これはっ!憐太は内側ギリギリを走行している!この状況でのドリフトはかなり困難のはず、鈴の方はドリフトを始め、その後ろを憐太が追います。
「こ、これはっ!?」部長が驚愕する。
「なんだと!?」裕二も驚愕する。
俺はこの時を狙っていたのだよ。このゲーム。相手の車を大破させることができるんだ!
一旦減速する鈴の車。そのけつめがけてアクセル全開だぁあ!!
その瞬間。
鈴の口元が吊り上がる。
「かかったな。」
鈴は確かにそう言った。
その間だけ時が止まったように錯覚する。俺が鈴の面を一瞥し、画面に視線を転じた時。俺の車は鈴の車には掠りもせずガードレールに一直線で突き進む。
……はめられた。
気づいた時にはもう遅い。俺の車は全速力でガードレールに突っ込み、大破。運転手は完璧に死んでいるであろう有様になった。
走り去る鈴。マ○オカートのように復活する俺の車。
もはやこの状況、覆す事なんて不可能。
俺はアクセルを踏むのをやめた。
「やったぁあ!私の勝ちぃ~!」
勝者鈴。堂々と万歳して俺を見下す。
「憐太君……あなた、本当に馬鹿ねぇ。」
「それはないだろ……。」
部長と裕二にすら見放された俺。敗北して呆れられる俺って……もう泣きたい!!
俺は涙目になりながら机に突っ伏した。
そして叫ぶ。
「ち、ちきしょぉおおおお!!!」