登校2日目
登校2日目、今日から授業が始まる。
予習は中学生のうちにやらされたし、忘れ物がないこともなども確認済みである。
まだ、教室の風景と制服は馴染まないが頑張ろう…。
ふと、始業開始の30分前の教室を見渡してみる。
今の教室内の生徒の姿は、全体の半分に満たない。
男女比率は男子の方が多いはずだが、時間的に女子のほうが若干多いようにみえる。だからか、女子の会話が耳に入ってきた。
「Bクラスのひろ君見ました?とてもカッコイイ人でしたよ!」
「見ました!モデルのヒロなんでしょう?あんなにカッコイイのに立水財閥の次男だなんて、最高だわ!」
「でもやっぱり彼女とかいるんじゃないの?」
私の知る限りでは、うたには彼女がいたことは無いはずだが…
「えー?いないと思うわ。でも、昨日Bクラスの各務原美璃さんが取り巻きつれて纏わりついましたよ。ヒロに引きはがされていましたが」
「各務原家の美璃さんが?彼女がそんなことするなんて珍しいわ。でも、ヒロにはあの人がいるでしょう?」
そこで、会話が小さくなった。でも、地獄耳の私には関係ない。
「ふふ、黒百合でしょう?あの柊財閥の長女の」
まさかの私だ。
「ええ、昨日も美璃さんをもおいて一緒に帰っていたわ」
私の知らないところでもうそんなことがあったのか…
ていうか、一緒に帰るのは家の方向が同じだけなんだけどなぁ。
うたも同じこと思っているだろうし。
いや、久しぶりにたくさん話せて浮かれているのか?
「まあ!各務原家の威光も形なしね」
まて、彼女のことを言うのははやめてあげて!
私たちは幼馴染なだけなんだから…!
しかし、やっぱりアイツはモテるのか。
考えてみたら、昨日の女子の扱いはやはり芸能界だけで磨かれたのではないのだろう。
彼は、共学の中学だったしなぁ。
私は私立の女子中学だったけれど。
考えを巡らしているうちに、生徒が揃ってきた。
まあでも、今週の彼の授業後は、モデルの仕事でいっぱいのはず。
それでこの誤解が消えるといいのだけれど…
そういえば、今週の土曜日の夜、いろんな方を招いて、私とうたと、彼のいとこであり私の幼馴染の桃桜の進学祝のパーティが開かれる。
他の同級生がいない場は、話すのに絶好のチャンスだ。
そこで、噂について、話してみよう。
彼ももう、噂については知っているはずだ。
彼の迷惑にはなりたくないなぁ。