女子会
今日は土曜日。立水家に遊びに行く日だ。
桃桜はうたの家でもある、立水本家が建っている敷地内にある別邸に住んでいる。
今日は立水本家で遊ぶ予定だ。
そして、私はその立水本家の中にいる。
流石、3大財閥の一つで、私の家と同じくらい大きい。
見慣れた内装も、今なら一目で高価なものばかりだと分かる。
小さい頃、価値が分からずベタベタ触っていた頃が懐かしい。
(…今日はうた、来ないだろうな。あんなに女子の扱いが上手いんだから、女子のお誘いを断るはずがない。まして、もともとの約束の相手は私達だ。身内同然の人より名家で美人な各務原さんを優先するだろう。あ、また…)
チリッとした。
気を抜くと出てしまいそうになるため息を堪えながら、立水家の広い玄関を通った。
「みぞれおねーちゃん‼」
小さい頃から何度も遊んだ馴染みの部屋に入った途端、私より頭1つ分小さい影が私に向かって突っ込んできた。
「ぐふ、か、奏璃…」
小さな影はそのまま私を抱きしめる。
「奏璃、みぞれが困っていますよ」
私に抱きついていた影、すなわち奏璃がハッとしたように腕を緩めた。
そして、破壊力抜群の上目遣いで、
「ごめんなさい、みぞれおねー、お姉様」
「あ、ああ全然大丈夫だ!気にするな!」
そういうと、花のように笑う奏璃。
可愛いな。流石うたの妹。
「そういえば、みぞれ」
「ん、なんだ?」
「詩尋が、呼び出されたので少し遅れるそうです」
「お兄様ったらヒドイよね!せっかく久しぶりにみぞれお姉様が来てくれたのに」
理由を知っている私からすれば、普通だと思うのだが、二人は知らないのだろうか。
「各務原なんかの人をみぞれお姉様より優先するなんて」
…知ってたようだ。ていうか桃桜も各務原さんを知ってたのか。いや、私が話したのか?
「まあまあ、奏璃。詩尋は、今後の障害を無くしたかったのだと思いますよ」
「今までもたもたしていたお兄様が悪いのに…!」
「あの、二人とも。各務原さんをけしかけたのは私だ。うたをそう言わないでやってくれ」
「あら、みぞれが?彼女と話したのね」
「むー、お姉様が言うなら仕方ないなー」
…この頬をふくらませる可愛い子をどうしようか。
「ああ、昨日彼女に呼び出されてな。うたの彼女と間違えられた」
「…あらそう」
なぜ桃桜はこんなジト目で見てくるのだろうか。
「えー!じゃあみぞれお姉様、お兄様の彼女になっちゃいなよー!私、みぞれお姉様が、ほんとのお姉様になったらすごく嬉しい‼」
彼女は意味を分かってるのだろうか。いや、もう奏璃も中学1年生。どういうつもりなんだろうか。
いやでも、うたと結婚、か。
考えたことなかったけれど、家柄も文句ないし。どちらも家は継がないからちょうどいいだろうな。
そこまで、考えてしまったところで『みぞれ…』と私を呼ぶうたの声を思い浮かべてしまった。
「あー!みぞれお姉様ったら真っ赤になってるー!」
「みぞれ、想像してしまったのですか?」
ヤバい、どうしよう。またキュッて…
ドキドキと心臓も速くなる。
幸い、すぐにもとに戻ったけれど…今のは、なんだ…?
心臓なんて大事な臓器の異状なのに…
イヤな感じ、しなかった。
「…っああ!もう!この話は終わりだ!今日は何するんだ?」
今は朝の9時45分過ぎ。
ほとんどのことができるだろう。
「うん、水族館に行きたい‼」
「だそうです。みぞれ、よろしいですか?」
水族館か。久しぶりだな…
「いいんじゃないか?よし、行こう」
私たちは、水族館へ行く準備を始めることにした。
といっても、運転手を頼み、お小遣いを確認&親が預けてた文をメイド長からもらうだけだが。
10分程で、仕度は整った。
いつも読んでいただき光栄です!
ありがとうございます!m(_ _)m
ちょこちょこ編集してます。
助詞とか話言葉とか些細なことですので、話の流れに大きな変わりはありません。