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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第9章 帝都の空に
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魔法アカデミー出動

 ゾンビ化の報が届けられ、大会議室は騒然となった。帝国宰相でさえ、最初はドキッとして言葉を失うほどだったから、いわんや他の対策会議メンバーをや。でも、さすがというか、帝国宰相はすぐに冷静になって、

「諸君、とりあえず落ち着いて腰を掛けられるがいい。うろたえておっても、どうにもならんわ」

 帝国宰相の一声で、大会議室は静まりかえった。官吏は帝国宰相に促され、報告を始めた。

 報告の趣旨は、帝都でも大規模なゾンビ化が発生したということ。ゾンビ化はスラム街のほか、中下流階層の一般市民の住宅地にも広がっていて、そればかりか、なぜか帝都のあちこちで火災が発生していた。そのうえ、オークやゴブリンなどの混沌のモンスターたちも混乱に乗じてゲリラ的に暴れ出したので、帝都の守備隊だけでは手が足りず、早い話、なんだかよく分からないけど帝都は危機にあるのが結論だという。

「よく分からんでは、話にならんわ。混乱を収束せねばならんが……」

 帝国宰相は苦々しい顔で言った。


「宰相、ここはひとつ、我々にお任せあれ」

 その時、白いローブを着た中年の男がすっくと立ち上がった。この対策会議のメンバーのようだけど、知らない顔だ。

 すると、プチドラは、わたしの耳元で、

「あの白いローブは、魔法アカデミー評議員のユニフォームだよ」

 魔法アカデミーは魔法の力で皇帝を守護し奉ることを目的として設置されていて、評議員とは、魔法アカデミーの最高意思決定機関「魔法評議会」のメンバー。早い話、帝国の高級官僚に匹敵するほどのステータスがあるということだ。

 その評議員は自信満々に、

「やはり肝心な時には我々の力が欠かせないようですな。ご安心下さい、我々がすぐに解決して御覧に入れましょう。ハッハッハッ、居眠りでもしながら待っておられるがよろしかろう」

「パーシュ=カーニス殿、それは無礼ではないか!」

 帝国宰相と仲良しのドラゴニア候すなわち御曹司が、机をドンと叩いて立ち上がり、その評議員に突っかかっていった。どうやらパーシュ=カーニスが名前(苗字?)らしい。

「興奮するでない。ドラゴニア候、そなたも魔法アカデミーの評議員に対して、失礼であるぞ」

 帝国宰相は、いわゆる大人の対応だろう、ドラゴニア候を制し、

「パーシュ=カーニス殿、ここはどうか、力を貸していただきたい。この神聖な帝都でゾンビが暴れまわるなど、本来、あってはならぬことじゃ。可能な限り早く、この混乱を収拾していただきたい」

「心得ました。早速、最高の魔法使いたちを差し向けましょう。もちろん、私も出動します」

 パーシュ=カーニスは一礼すると、颯爽と大会議場を出た。しばらくすると、魔法使いが幾人も、魔法の杖にまたがって帝都の上空に飛び立っていった。

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