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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第7章 破滅への道
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殴り込み

 わたしは急きょ、メアリーとマリアを呼んだ。ラードの独走かG&Pブラザーズの組織的犯行かは分からないけど、とにかくキム・ラードがわたしの領内を荒らしたということで、G&Pブラザーズには落とし前をつけてもらおう。魔法科の生徒も連れて行こうと思ったけど、メアリーが「まだまだ技量が未熟で無理」と言うので、少年魔法戦隊の楽しみは次回に取っておこう。

 というわけで、魔法科の授業は中止、わたしたちは魔法科の生徒に見送られながら、ミスティアの町に向けて出発した。わたしは伝説のエルブンボウと矢筒を持って隻眼の黒龍の背中に、メアリーは例によって槍に腰掛け、マリアも隻眼の黒龍の背中(わたしの前)に乗った。

「ねえ、マリア、あなたは杖に乗って飛ばないの?」

「はい、飛べなくはないのですが、ちょっとした事情がありまして……」

 マリアが意味ありげな笑みを浮かべた。なんだろう。なんだか気になる。


 ミスティアまでは、空路、数時間の航程。前回は町の外で一旦地上に降りて町の門から入ったけど、今回は、直接、ミスティアG&Pブラザーズ本部前に降りることにした。取引ではなく脅迫が目的だから、少しでも怖そうに見える方が好い。

 町の住民の反応は予想どおりだった。隻眼の黒龍を目にするや、みんな恐れをなして家の中に隠れ、わたしたちが地上に降りると、G&Pブラザーズ本部前には猫の子一匹いなくなっていた。

「ここがシーフ・ギルドのアジトですか。それにしても……」

 マリアはハンカチを取り出して口元を押さえた。そういえば、マリアは初めてだった。G&Pブラザーズ本部は商店街の外れ、スラム街に程近いところにある。言われてみれば、なるほど、そこはかとなくスラム街特有の臭い……

 ともあれ、わたしは子犬サイズに体を縮めたプチドラを抱き上げ、

「プチドラ、Fire!」

「はーい」

 プチドラは炎を吹き、本部1階の壁に大きな穴を空けた。その際、建物の中で何人かが犠牲になったかもしれないが、わたしの知ったことではない。

 その穴からは、すぐにギルド員たちが武器を構えてぞろぞろと現れた。そのギルド員たちをメアリーとプチドラがちぎっては投げ、ちぎっては投げ……

 前回と同じような光景が繰り広げられている。


 そうこうしているうちに……

「何事だ!? 殴りこみか?」

 と、社長レオ・ザ・デスマッチが右手にハンドアックス、左手にメイスを持って飛び出してきた。道端にギルド員たちが傷を負って転がっているのを見ると、ギロリとわたしをにらみつけ、

「おまえはっ! 一体、どういうことだ?! 悪戯が過ぎるぞ!!!」

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