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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第6章 ハーフ・オークの恨みは深く
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ヒロインは不滅

 そして……

「マスター! ねえ、マスターってば!!」

「大きな声を出さなくても、プチドラ、聞こえてるわ」

 結論から言うと、わたしは当然のように無事、少しビックリしただけだった。

 プチドラの魔法の力だろう、地面の中で、わたしとプチドラの周囲にだけ、ぽっかりと空洞ができていた。そのおかげで、一応、生き埋めにはされたけど、完全に埋まらずに済んだ。


 ラードのやつ、「冥土の土産」に何もかも喋ってくれればよかったのに(ありがちなパターンだけど)、何も説明しないでいきなり攻撃を仕掛けてくるなんて…… この前のプチドラ火炎攻撃の意趣返しだろうか。

 今まで、余りにも前衛芸術並みに崩壊していた顔のせいで、真剣に考えたことはなかったけど、魔法で崖崩れのような大規模な自然現象を発生させるのだから、ラードの魔力は並ではない(と思う)。これまでの傍若無人な振る舞いや大言壮語には、実力の裏付けがあったということだろう。

 さて(ラードの顔のことはさておき)…… 一体、何がどうなっているのだろう。混沌の反乱軍がカオス・スペシャルでラリって攻めてきたり、ラードが何の脈絡もなく混沌の領域に現れたり、おかしなことが多すぎる。「大きな計画」とか、「復讐プラン」とか言ってたけど、そもそも、今回の反乱には、最初からラードが関与していたのだろうか。また、ラードの行動は、G&Pブラザーズの重役としてだろうか、あるいは、ラードの個人プレーでG&Pブラザーズは無関係だろうか。

 疑問は尽きないが、とりあえずは早く地上に出よう。いくら考えても分からないものは、仕方がない。今回も例によってプチドラにお任せで、プチドラは隻眼の黒龍モードで土砂をかき分け、わたしたちはどうにか地上に脱出することができた。


 こうして、再び隻眼の黒龍に姿を変えたプチドラの背中に乗って山上の陣地に戻ると、案の定、大騒ぎだった。わたしが行方不明になったのだから当然の成り行きだろう。司令官は、わたしの姿を認めると、ホッとして緊張の糸が切れたのか、目から大粒の涙をポロポロと流し、

「カトリーナ様、今までどこにいらっしゃったんですか!? テントはもぬけの殻だし、その辺りを探し回っても姿が見えないし、ひょっとしたら、事故にでも遭われたのではないかと……」

「適当にこの辺りを偵察してきたのよ。心配しなくても大丈夫よ」

 本当は、それほど大丈夫なわけではなかったけど……

「寿命が何十年か縮まりましたよ。でも、よかった……」

 司令官はフラフラと力が抜けたように、本営に戻っていった。司令官は心配性のようだ。あまり脅かすのは可哀相だから、次回からは、出かける前に一言、声をかけることにしよう。

 わたしとプチドラは遅い朝食を食べた。その後は特に変わったこともなく、一日が過ぎた。

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