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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第5章 カトリーナ学院と親衛隊と……
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気分転換

 カトリーナ学院(故ゴールドマン騎士団長の館)の門をくぐると、大きな庭園が広がっていた。手入れは行き届いているようだ。噴水や花壇など、館の中庭よりも立派な感じがするが、気のせいだろうか。その向こうには、2階建てでレンガ造りの校舎が威容を見せつけている。そして、その校舎の前では、

「ここはこうして、え~っと…… 説明は難しいのだけれど、こうするの」

 メアリーが魔法科の5人の生徒に魔法の実技指導をしているところだった。メアリーが槍に横向きに腰掛け、そのまま静かに空中に浮かび上がると、魔法科の生徒は練習用の魔法の杖を使い、同じように垂直上昇と空中停止を試みている。メアリーほどうまくはないが、それでも人の背丈程度の高さまで達することができるようだ。

 なかなかうまいものだ。わたしは拍手を送りながら、

「すごい。この調子なら、そのうち、魔法戦隊が編成できるわ」

 するとメアリーは、さっとわたしの前に舞い降り、

「カトリーナ様、よくぞいらっしゃいました。子供たちは、日に日に魔法の腕を上げています。ただ、魔法戦隊は、ちょっと…… それに、今の段階ではまだ早すぎますし」

 メアリーは気乗りがしない様子。魔法戦隊は、生徒たちの腕前がもっと上達してから考えることにしよう。


 校舎の中は、高級な敷石や絨毯、調度品・工芸品等、やはり舘より立派な感じがする。情操教育の一環として、美しいものを子供に見せることは、一応、理に適ってはいるが、なんというか……

 わたしがプチドラを抱いて校舎内を散策していると、ふと、気がついたことがあって、

「でも、空き部屋が多いわね。建物が大きすぎたかしら」

「そうだね。ただ、これから先、高等教育や科学アカデミーを併設するみたいなことを言い出したら、これでもスペースが足りなくなるかもしれないよ」

 そういえば、エレンがこの前にそんなことを言ってたような…… ただ、どこまでできるか分からないけど。


 さらに校舎内をふらふらと歩いていくと、やがて、廊下の先の方に見覚えのある影が見えた。こちらに近づいてくるようだ。よく見ると、それは、書類や荷物を抱えて駆けてくるエレンだった。

「あら、エレン、こんなところで、どうしたの?」

「ああ、カトリーナさん」

 話によれば、このところ、授業はすべて新任の教師に任せ、自分は責任者として全体を統括する仕事をしているので、何が忙しいのか分からないけど、とにかく忙しくなったとのこと。どんな仕事をしていても、エラくなると同じようなものらしい。エレンは早口で説明を終えると、再び書類等を抱えて駆け出した。


 ともあれ、動き回っていると、多少の気分転換にはなった。そろそろ、館に戻ることにしよう。

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