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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第5章 カトリーナ学院と親衛隊と……
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事件勃発か

 親衛隊が発足し、館はクッキリと赤い集団と黒い集団に色分けされた。親衛隊の規模は総勢100人と少し。エルフ姉妹とメアリー配下の精鋭に加え、若干名の兵士を新たに雇い入れた。当然のように、親衛隊と猟犬隊の仲はよろしくなく、町の酒場で酔っ払って喧嘩を始めることもあった。ドーンもやはり快く思っていないようで、報告の際などに「ブ~」とうなり声を上げることが多くなった。


「親衛隊を編成したのがそんなに不満なの?」

「いえ、そういうわけではないのですが、その、なんといいますか……」

 ドーンはうつむき加減で言った。なんとなく気分が乗ってなさそうな、「ブー」と言いたいのを我慢しているような雰囲気。

 わたしはドーンをつかまえて、グッとこちらに引き寄せ、

「親衛隊ができたからって、猟犬隊の重要性は変わらないわ。むしろ、今後は諜報活動や特殊任務のエキスパートとして、これまで以上に期待しているから」

「は……はい」

「……と、いうわけで、早速で悪いんだけど、ひとつ、頼まれてくれない?」

 すると、ドーンは急に息を吹き返したかのように元気になって、

「えっ!?  はっ、はい。かしこまりましてござます。なんなりと」

 頼んだのは、このところのミスティアG&Pブラザーズの動向の調査。レオ・ザ・デスマッチのこれまでの行状をかんがみれば、カオス・スペシャルの販路拡大のため、周辺の町のシーフ・ギルドとの抗争を始めていてもおかしくはない。どうしても知りたいというほどではないが、知っておいて損はないし、(彼らとビジネスパートナーとなった今では)それほど危険な調査でもないだろう。諜報機関としては、丁度好い練習になると思う。

 ドーンは元気よく胸を張り、

「了解しました。早速、調査に移ります」

 と、勢いよく執務室を飛び出した。プチドラはその後ろ姿を見て、

「仕事をもらってあんなに喜んじゃって…… 『単純な』といって、いいのかな」

「さあ、どうかしら。でも、使いやすいことは確かよ」


 ドーンを送り出した後、わたしは特に何をするともなしに、ぼんやりと窓の外を眺めていた。ところが、しばらくすると、ドーンが何やらただ事ならぬ雰囲気で執務室に駆け込み、

「カ、カ、カッ、カトリーナ様!!!」

「どうしたの? いくらなんでも速すぎるけど、もう調査が終わったの?」

「調査は部下に指示を出しました。そうじゃなく、別件で…… とっ、とにかく! とにかく、大変なんです!!」

 ドーンは蒼ざめ、全身、汗びっしょりになっていた。

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