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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第1章 街角の密売人
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麻薬でぼろ儲け?

 夕方、わたしは視察を終え、館に戻った。町には少しずつ活気が戻ってきているようだけど、ドーンによれば、混沌の勢力との戦争前の水準に達するには、まだ時間がかかりそうだという。ともあれ、復興は順調に進んでいるようだから、よしとしなければならない。

 それはそれとして、ちょっぴり気になるのが麻薬の密売の話で、

「ドーン、麻薬の密売って、儲かる?」

「儲かります。だから危険を承知で密売する人が出てくるわけです」

 儲かるのであれば、密売の利益を隣国のシーフギルドにくれてやることはない。麻薬を合法化して国の専売にして販売価格を引き下げれば、わたしが麻薬売買の利益を独占することができる。適当にどこかから仕入れて転売するだけなら、投資も不要で丸儲け、こんなおいしい話はない。


 ところが……

 館の大広間にポット大臣の「ヒィー」という鳥のような叫び声が響き、

「そ、それは、絶対、ダメですぅ~!!!」

 と、泡を食った大臣からあっさりとダメ出しされてしまった。麻薬の禁止は帝国の法なので逆らうことはできないという。違反した(わたし的に厳密に言えば、「違反がばれた」)場合には、爵位剥奪のうえ追放とのことだ。

「それに、仕入先の問題もありまして……」

 と、ドーン(大臣よりドーンの方が現実的な考え方をする)。麻薬を扱っているのはマーチャント商会の非合法取引部門だけなので、そこに法外な対価を支払って仕入れなければならないらしい。確かに、マーチャント商会とは、絶対に付き合いたくない。

「それじゃ、領内でこっそりと麻薬の原料植物を栽培しましょう。で、乾燥させて売るだけなら、簡単でしょ」

「マスター、それは無理。この辺りの気候は栽培に向かないから」

 今度はプチドラが言った。この世界の麻薬の原料植物は、リザードマンの領域のような亜熱帯でなければ育たないそうだ。すなわち、トカゲ王国内のシーフギルドが原料植物を栽培し、マーチャント商会非合法取引部門が独占的に買い取り、帝国内各地のシーフギルドに卸売りするという流通体系とのこと。


 夕食後、わたしは寝室のベッドでゴロンと横になり、つぶやいた。

「何かうまい方法はないかしら」

「マスター、あきらめて地道に働こうよ」

 せっかく財政危機打開の切り札、手っ取り早くお金儲けをする方法を見つけたと思ったのに、なかなかうまくいかない。世の中、それほど甘くないということだろうか。

「とりあえず寝るわ。おやすみ」

 明日は宝石産出地帯視察の予定。でも、わたし的には麻薬をあきらめたわけではない。そのうち、いい考えが浮かぶだろう、多分……

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