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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第3章 麻薬ではなく滋養強壮剤
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レオ・ザ・デスマッチの暗い過去

 ドーンとエルフ姉妹によるレオ・ザ・デスマッチとキム・ラードの徹底調査が開始されてから、特にこれといった事件もない平穏な日常が続いた。事の経緯を知らされていないポット大臣は、いつものように忙しく働いている。まさに公務員の鑑。

 しばらく時がたって、いろいろと情報が集まってきたので、このあたりで、レオ・ザ・デスマッチとキム・ラードについて、簡単にまとめておくことにしよう。


 まずは社長のレオ・ザ・デスマッチから。


 デスマッチの生年月日は不詳、帝都の裕福な商人の息子で、何不自由ない少年時代を過ごした。数人の兄弟姉妹がいたが、詳細は不明。子供の頃の腕力は抜群で、喧嘩三昧の生活を送っていて、親が喧嘩の相手方に支払った慰謝料や損害賠償は莫大な額に上る。でも、非常に裕福なので、父親も「要するにカネを払えるから何をしてもいいんだ」と居直っていたとか。

 しかし、悪事の報いを受けたのか、裕福な生活が終わりを告げる時が来た。すなわち、父親が詐欺に遭って全財産を騙し取られたばかりか、莫大な借金を背負わされてしまった。さらに悪いことは重なるもので、しばらくして父親の経営する商社は破産、土地も家も家財道具も一切合切債権者の手に渡り、彼を含めた兄弟姉妹は、全員、奴隷として売り飛ばされてしまった。そういえば、最初はわたしも奴隷だったっけ……


 奴隷として、彼は苦難の道を歩むことになる。最初はガレー船のこぎ手としてサディスティックな雇い主にこき使われ、何度か転売されたあと、剣闘士として地方の闘技場で戦った。レオ・ザ・デスマッチという名前は、その頃に付けられたネックネーム。ライオンと死闘を演じて打ち負かしたという安直な理由による。

 ライオンをやっつけるくらいだから、デスマッチの技量は大変なもので、体はそれほど大きくないが、俊敏な動きは誰にもマネのできない超人的なものだったとか。かなり誇張があると思われるが、連戦連勝、向かうところ敵なしだったと伝えられている。デスマッチは、剣闘士としては成功を収めたと言えるだろう。

 ところが、デスマッチは、この頃、忽然として姿を消してしまう。理由など、詳細は分からない。公式には、主人を殺して逃走した罪で、お尋ね者となっている。ただ、その当時、デスマッチがいる闘技場があった地方では、貴族の集団自殺事件や騎士の酒場大乱闘事件など、おかしな事件がいくつも続いているので、剣闘士の第一人者だったデスマッチも何らかの陰謀に巻き込まれたのではないかと考えられている。逃亡後の足取りは不明。


 しかし、数年前、デスマッチはキム・ラードとともにミスティアに現れ、シーフギルドの当時のギルドマスターを殺害、ギルド及びミスティアの裏の世界を牛耳ってしまった。一応、シーフギルドの全国組織「カバの口」に加盟しているが、独立心が強く、周辺の「カバの口」加盟ギルドにちょっかいを出したりして、問題を起こしている。裏の世界では、そのうち本当にデスマッチが独立のため戦争を始めるのではないかと懸念されている。


 公式な記録や裏の世界の噂話などからレオ・ザ・デスマッチについて確認できた情報は、以上のとおり。

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