本部爆発炎上
メアリーを送り出してから、しばらく待っていると、東方にモクモクと煙が立つのが見えた。
「うまくいったようだね」
と、プチドラ。今頃、G&Pブラザーズの連中は、わけも分からずに右往左往していることだろう。
さらに、もうしばらく待っていると、メアリーが横向きに槍に乗って、猛スピードで戻ってきた。
「どうだった?」
「うまくいきました。G&Pブラザーズ本部を完全に破壊しました」
メアリーは、ささやかにVサイン。話によれば、G&Pブラザーズ本部を目視可能なギリギリの距離から狙い打ちにしたそうだ。メアリーの指先から放たれた特製の火球(Fire Ball)は正確に目標を捉え、火球が命中すると、本部は大爆発を起こし炎上を始めたとのこと。
「すごいわ、メアリー」
わたしが思わずメアリーを抱きしめると、メアリーはちょっぴり頬を赤らめ、
「いえ、それほどのものでは…… 妹がいれば、射程距離はもっと伸びるのですが……」
メアリーが打ち出した火球をマリアが誘導すれば、目視範囲外の目標も攻撃可能という。なんとも……ここまでくれば近代戦の遂行も可能かもしれない。
「でも、本当に、いいのでしょうか」
メアリーは首をかしげた。
「いいのよ。復讐する気がなくなるくらいに痛めつけてやらないとね。過剰なくらいが丁度いいわ」
「でもでも、G&Pブラザーズのギルドマスターが爆発・炎上に巻き込まれて死亡していたりすると、今後の交渉の相手がいなくなりますが……」
「大丈夫よ。裏の秘密結社のトップになるくらいだから、それなりに悪運も強いと思うわ。でも、もしも本当に焼け死んでいたとしたら、今回ばかりは運がなかったということね」
この攻撃でG&Pブラザーズの「社長」もついでに焼き殺してしまったかも知れないが、今更言ってもしょうがない。ただ、わたしの根拠のない憶測では、社長とハーフ・オークの魔法使いは殺しても死なないような気がする。そのうち密偵でも送って生死を確認することにしよう。
その後は事件もなく、わたしたちは無事にミーの町に戻ることができた。館に着くと、わたしは今回もまたカトリーナ学園初等部の子供たちに囲まれ、エレンとドーンは抱き合って再会を喜び合った。
ポット大臣はわたしたちを出迎え、
「お帰りなさいませ。首尾はいかがでございましたか」
「まあまあよ。大成功ではないけど、そう悪くもないわ。いろんな意味でね」
我ながら、いい加減な表現だ。ポット大臣は、よく理解できないらしく、「はぁ?」と首をひねっていた。




