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ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第2章 ミスティアG&Pブラザーズ
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ミスティア訪問

 唐突だけど表敬訪問したいという申し出は、ミスティア子爵から好意的に受け入れられ、その準備は順調に進んだ。わたしは猟犬隊と騎士団を連れて大々的にデモンストレーションをしようと思ったけど、ポット大臣は、一言、

「お金がありません。無理です」

 あっさり却下されてしまった。費用の関係から、あまり人数が多くなるのは困るらしい。でも、ある程度の戦闘員を随行させなければ、わたしの用が果せないので、無理矢理ねじ込んだ結果、ドーン、メアリーのほか50名ほどの猟犬隊の精鋭を随行員に加えることができた。

 こうして、ミスティア表敬訪問団は、大名行列さながら、ミーの町を発った。なお、ミスティアG&Pブラザーズの人質については、元気そうなのを3人選び、荷物の奥に押し込んで監視をつけた。


 表敬訪問団は東方に向けてゆっくりと進んだ。国境を越えると、だんだんと耕地が目につくようになった。ミスティアは農業国らしい。こうして見ていると、あっさり併合してしまいたい気分に駆られてしまう。

「うらやましいな~、ほしいな~」

「マスター、『ほしい』って、何を?」

「土地というか、肥沃な大地というか…… いえ、なんでもないわ」

 そうこうしているうちに、遠方にミスティアの町が見えてきた。それほど大きな町ではなく、ミーの町と同程度。イメージとしては、ひなびた地方都市といったところだ。


 町の中心部のミスティア子爵の館では、さほど大人数ではないが高級官僚や騎士団が正装でわたしたちを出迎えてくれた。わたしも今は、きっちりと礼装で身を包んでいる。わたしは作法に則ってミスティア子爵と挨拶を済ませた。

 子爵は、ものすごく人が好さそうな老人だった。イメージ的には、他人にだまされても気がつかず、やがて手違いからウソが真実になり、だまされた相手に感謝するみたいな、ほのぼのとしたオーラがただよっていた。

 わたしたちはミスティア子爵の館の会議室で両国間の交渉事項(主として経済問題)について議論し、最終的に合意文書に調印した。ただ、ポット大臣と相手方の担当者による事前の根回しによって実質的な決着はついており、この日の発言は、大臣からこっそりと手渡された台本に沿ったものだった。

 会議が終わると、華やかな晩餐会が開かれた。この晩餐会は実に礼儀正しく行儀よく、わたしの体質には合わなかった。子爵からは、どういうわけか、軟弱そうな男(子爵によれば「孫」だという)を5人ほど紹介されるし、あまり愉快なものではない。どうせなら、ツンドラ候みたいなハチャメチャな乱痴気騒ぎの方が……


 こうして、すべての公式行事の予定が済むと、

「いよいよですな」

 ドーンは既にハンドアックスを握りしめ、武者震いしていた。

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