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百合百景 ~二分で読める百合短編~  作者: 荒井チェイサー
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香る唇

「なんかいい匂いする」

ミユキが鼻を鳴らしながら抱き付いてくるのを見ながら、私は「またか」と思った。

ミユキがこちらに抱き付きながら何かを言う時は、構ってほしい、のサインだ。

それに付随する言葉で、何を欲しがるのかを察するのかが私の役目、というわけだ。

「リップ変えたからね」

私がそう言うと、ミユキは目を輝かせる。

「いいなー。私もそれ欲しいなぁ」

遠回しに『同じ物を持ちたい』と言っているようだ。けれど、それは出来ない。

付き合っているのがバレたら、私たちはクラスから……いや、学校中から拒絶される。そして、その後は攻撃される。

同性が付き合うというのは、それも孕んでいる。大っぴらに言えればいいが、私にはそんな勇気は無い。多分、ミユキにも無いだろう。

「だから、同じ物持ってたら怪しまれるからダメだって」

「違うもん、それが欲しいんだもん」

「はぁ……だから同じ物はダメ。もう、それなら私の持ってるこれをあげる……」

「違うの、欲しいのは」

 ミユキはそう言って私の唇に自分の唇を重ねた。

「唇に付いてるヤツだもん」

 不意のキスに驚きながらも、私は彼女にチョップをした。

「痛い」

「痛いのはアンタの行動。周りに人がいたらどうすんの?」

「ごめん」

「もういいよ。したかったんでしょ、キス」

「……うん」

 頬を染める彼女をそれ以上攻めることが出来ない。

 これが増長させる原因か、なんて思いながら私は耳元で囁いた。

「今日、ウチでまたしてあげるから」

 さっき、自分からキスをしたくせに、顔を真っ赤にしながら彼女は頷いた。

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