5文 星
大きな白い満月が銀沙灘を照らした 星が空いっぱいに広がっており 流れ星でも流れそうだ
秀秋は縁側に寝っ転がり、星空をじっと眺めていた
「…綺麗だなぁ…」
ほうっとため息を付くと 政宗が物珍しそうに秀秋の顔を覗き込んできた
「何している」
「うわぁ!」
吃驚して飛び上がると 政宗はビクっと肩を震わせた
「びっくりしたなぁ…もう」
「…こんな所で何をしておる」
政宗は辺りを見回した 何か面白い物でもあるのかと思ったようだ
「…星を見てたんです」
「…星なんぞ珍しい物でもないがな…」
濃紺の星空を見上げると 現代にはない美しさが秀秋を圧倒する
「…明では星を見られんのか」
「ええ まぁ…」
現代は人工の光源が多くなり 星の光を押しつぶす星は1等星などの明るい星しか見れない
「流れ星でも見れそう…」
「? 流れ星 とはなんだ」
「…星が流れて…あ!」
と 説明しようとすると 流れ星がキラッと南西の空を舞った 光の残像が現れる
「あぁいうのを流れ星って言うんだよ!」
人生の中で数回しか見れない…というか見たことがないのだろうか?流れ星を見られて 秀秋は感動した
「…よく見るが」
「…あれが消える前に何か願い事を3回唱えたら願い事が叶うって言う…」
「…奇怪な」
政宗はもう1度、流れ星がこないかと 空を見上げた
秀秋は目を擦りながら、再び寝っ転がった
「政宗は何の願い事したい?」
「呼び捨てかよ… 俺の願いはただ1つ____」
そうか 流石____
「天下統一だ」
やはり 予想した通りだった
「そっか 叶うといいな!」
確か天下統一したのは…徳川家康だよな?と なると…
秀秋は縁側に座っている政宗のほうを見た
この人は天下統一しない_____
「ふぁ…眠…」
普段ならいつも起きている時間?のはずなのに…
何故か 眠い…光がないせいか…?
「すまん ならちょっと待ってろ」
政宗はそう言って 障子をスパンッと開け 押入れのような所から少し黒い布団を取り出した
「あれ…?もう1枚なかったっけな?」
そう言い、空っぽの押入れを覗く
「あー…1枚しかないんだったら…寝て良いよ」
「いや ダメだ 客にそんなことはさせねぇ」
まだ諦めないのか 押入れを覗く 流石に諦めたようで 小十郎を呼ぼうとしたが 規則正しい彼はもう寝ているだろう とのことで断念した
「布団がないんだったら…俺が座敷で寝るしかないか…」
「いや いいって 僕が…」
2人とも遠慮がちに 布団を譲ろうとする で 結局
秀秋が布団 政宗が座敷ということになった
「…いや 本当にこっちでいいの…?」
「たまには座敷もいいかもな」
政宗ははっと笑うと、黙った
「じゃぁ おやすみ」
「…明ではそう言うのか」
「一応ね」
いつかバレルだろう そう思いながらも 瞼を閉じた
いつか打ち明けなければいけないのか?
僕が未来からきたことを____