4文 団欒
日もすっかり暮れ、蝋燭を灯した時だった 障子に人の影が映ったかと思うと、カタカタと音を立てて障子が開いた
「…食事で御座います」
小十郎が廊下で正座をしていた 凄い改まり様だな と思いながらも、痺れた足を動かす
「分かった、今行く」
いかにも、お腹が減った動物のような顔をして、政宗は答えた
「足痺れた…」
「お前正座もしないのか?ありえぬな」
正座なんて人生のうちで何回かしかしてないのに… ざっと20分くらい正座をしていたと思う しかし時計はないので時間は分からない
ふらふらしながら部屋を出ると 長い縁側を突き進んでいった もう月が出ており 灰色の雲の隙間から黄金色の光がはみ出ている 光が銀沙灘に乱反射し、銀沙灘が光っている とても幻想的な風景だ
玄関を通り過ぎ、そのまま真っ直ぐ進むと 襖が6つほどある部屋があった
中からはたくさんの人がいるようで、たわいもないお喋りが聞こえる
と 政宗がためらいもせず 襖を両手で開けた
「…?!」
部屋は狭いような広いような、微妙な広さだった しかし中には20~30人の人が1つ1つある囲炉裏を囲っていたり、座布団に座り、家族で御飯を食べていたりと なんとも和む光景だ
「あー!政宗様!今日の夕御飯は大根の煮付けですよっ!」
若い女性が台所から出てきて、笑顔で迎えた
「…あれ?その子は…?」
女性が秀秋の方をマジマジと見る
「あの…明…?から来ました…」
「あぁー!なるほど!ならこの子の分の御飯も!」
女性はそう言って 台所に戻っていった
政宗は1人で寂しく食べている武士が座っている囲炉裏を見、その方へと歩いていった
そして近くにくると
「お前 1人か?隣いいか?」
と 気さくに話しかける 武士は断ることもできず
「あ…はい!どうぞ…」
そして安心したように座布団に腰をどすっと降ろす
秀秋もそろそろと座布団に座る 幸い足を下に下ろすことができたので、正座をすることはなかった また正座をするようなことになったら足が死んでいたかもしれない
「今日は…すまなかった。」
政宗が頭を深々と下げる 武士は一瞬睨んだが、すぐに冷静になり
「…確かに…悲しいですけど…でも1人や2人逝ったくらいで悲しんでられません 天かをとるならそれくらいの犠牲は払わないと…」
と 悲しげに微笑んで見せた 武士は無理やりの笑顔を必死で作っている
「…良いように言わなくても良いんだ」
ちょっとしんみり来た時、囲炉裏の火がこっちに音を立てて飛んできた
そしてさっきの女性がおぼんに乗っている御飯を横に置いた
「わっ…!っと 有難う…御座います」
「礼儀正しいね!」
女性はニッコリと笑うとちょっと欠けている箸を秀秋に渡した
政宗はまだこの武士と話をしている
「ちょっと 政宗様 食べてくださいよ!」
「あ 悪い 今食べるからさ…」
茶碗を手に取り 口に運ぶ
「美味しいですか?」
女性がおずおずと聞く
「美味いっ!」
秀秋も 自分もと、欠けた箸で御飯を口に運ぶ
「…美味しい…」
現代の味とは違う 新鮮な感じで モチモチしていて 水分があって つるつるしていて…
「こんな美味しい米 初めて食べた…!!」
感動した 昔の食べ物は化学製品も入ってなくて 安全で… しかし味は落ちるが…
人々も仲良く…すれば良いのに…