1文 過去
「…で 長篠の戦では…」
6時間目 とても眠い しかも歴史とくれば超面倒くさい
歴史なんか勉強して何の役に立つんだ そう思いながらも 6年生になって半年
最初は楽しそう と思ったが それは最初だけで 鎌倉時代などと 室町時代などと ものすごく複雑になっていった
「はい 織田軍は何を武器にして戦いましたか?はい 徳田君」
「はっ…!?」
急に自分の名前を呼ばれて飛び上がった しまった 全然話を聞いていなかった
先生は僕がずっと上の空であったことを見逃してはいなかった
「えっと… 今なんて…」
恐る恐る返すと先生は怒りっぽい口調で
「聞いていなかったんですか?織田軍は何を武器にして戦っていたのでしょう と言ったのですよ」
「え…っと…」
確か長篠の戦では徳川と織田と豊臣が戦ったよな と 思いながらも 織田は何を武器をしたのかが分からなければ意味がない
「えっと…徳川…?」
自信なさげに応えると 先生はさらに怒りを増して
「違います!さっき言ったでしょう?!織田軍は鉄砲を使ったんですよ!」
「ぷっ だっせ 馬鹿じゃねーの?」
小さな声が聞こえ 後ろを向くが 皆つーんとして 笑いの渦に巻き込まれる
「はいはいはい 静かに」
そして 何事もなかったかのように授業は進められた
『5時になりました 生徒の皆さんは速やかに下校してください』
流石夏であって 5時とはまだ明るい 皆が下校する中 友達が少ない僕は1人で校門を出た
女子が固まって喋っている 邪魔だなぁと思いながら 少し強めに
「邪魔」
1言だけ言った
「なっ…!五月蝿い!馬鹿!」
女子の1人が怒って蹴りをいれてきた
「って…」
お返しと言わんばかりに砂を蹴散らした そして ダッシュで逃亡した
「明日…覚えとけ!馬鹿野郎!」
女子がそんな汚い言葉を使っていいものか そう思いながら帰り道を急いだ
夕焼けが輝いた 鉄橋の下には川が揺らめいており 現代にしては少し昔っぽい一面もある
川原が下にあり そこまで坂道になっており 草すべりでもすればそのまま突っ切って川へダイブしそうな角度だ 高さは2~3Mほどあり 落ちると頭を打って死んでしまいそうだ
「あーあ…」
下を向いて歩いていて ため息をついた
すると何か白い物が目の前を横切った
「あっ…猫…?」
顔を上げると 本当に白い猫が横切っていた 黒くないだけマシか と思って猫を少し小走りに追いかけた
いろんなことを考えていたのか 石に蹴躓いて バランスを崩した
「やばっ…」
足がもつれたまま 頭から川原に落ちていった
「いったぁ…」
ゆっくりと 頭を起こした よかったどうやらケガはしていないようだ
と______
「浅井軍!東の陣地へ急げ!」
「いいか!陣地を取られないようそのまま突っ込め!」
「は…?」
すぐ横を見ると たくさんの人が剣や槍を交じり合っている
「え…何…ここ…」
あの世で戦国時代の人がドンちゃん騒ぎでもやっているか と思い 頬をつねる
痛覚を感じ これは本物だと確信する
「お前…おかしな格好だな まさか忍びか?」
急に後ろから太い声が聞こえ びくっと肩を震わせる
恐る恐る後ろを振り向くとそこには__
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
思わず 叫び声を上げてしまった あまりにも偉大な人物が___
「なななななんでこの人がここに…?!」
「あ?そりゃ いるだろ」
「…分かった コスプレだ!」
「は?コスプレとは…?」
そんなことも分からないのか この大人は
だとすれば本当に____
「…今って 2011年…だよな?」
「…1600年…だが?」
1600って400年も昔だ! 歴史に疎い彼は何もわからない