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欧州空母寿司決戦!君の小宇宙は萌えているか!?

1966年7月11日・ジェノバ



『・・・』

『・・・私の記憶が正しければ、だ。初、帝國海軍はイタリア海軍に機体導入のプロモーション兼アグレッサー部隊として二個中隊を派遣していたよな?』

一つは壊滅してしまったが、一つは空母スパルヴィエロで運用されており、健在のはずだった

『・・・(目を逸らす)』

『直純はん、どうしたんや?』

『別の空母の一般解放日にいくんじゃないのか?』

連れてきたフィリネとエミリアが事態を飲み込めず質問する

『いや、まぁそのつもりだったんだが』

初の目が泳ぐ。舷梯が降りている埠頭が見える角を曲がった所で、日本人の彼らは引きつって彼女達にあれが見えないように押し留めた

『一応聞くぞ、これ、戦記でファンタジーとはいえリアル系指向だよな?』

『兄貴、それはメタいぜ』

頭を抱える直純

『あらあら、どうしたのかしら?みなさんお揃いで』

『中隊長ちぃーっす!』

そこにレシィとブロディがあらわれた

『ん?デートですか?』

『ハハハ、まぁそんなところです』

直純の質問に、ブロディが照れる

『て、てめぇ!俺の嫁に手ぇだしやがったな!』

『こらこら、妬かない妬かない。ブロディ君もうそつかないの』

聞けば、軍属とはいえ、もともとフィアット社の電装系社員である二人だ、スパルヴィエロにも配備された烈風の整備具合を偵察しに来たのだそうだ

『私はデートとしか思ってませんよ?』

ブロディ・・・全部台無しだ

『あらあら』

クスクス笑うレシィ・・・一番黒いかもしれないなこの人



ピッピー



あ、公用車が警笛を鳴らして通り過ぎる

『おい、玖部大佐だったぞ』

『あれをみりゃ、そりゃ止めにくるさ』

直純はため息を吐いた。やれやれだぜ

『それじゃ行こうぜ、さすがに撤収したろう』

『『『『?』』』』

ブロディらにはクエスチョンマークがつきまくっている。うん、知らなくてもいいこともあるのですよ。フィリネ残念ながら




『ふごご、ふぃふぃもにょふぁ!!!(あれは、いいものだ!!!)』


どこかで聞いたことのある声と、何かが吹き飛ばされて落ちる音

『な、なんや?』

『勘弁してくれ』

玖部大佐が倒れている。そして、舷登門の所には



『かっぱかっぱかっぱ』

『愚かな男よ、せっかく栄えある海栗宮に迎え入れてやろうとしたのに』

『この格好がいやだと?この寿司衣クロスは、多くの職人の血汗によって練りこまれた物、馬鹿にしおってからに!』



『『???』』

フィリネとエミリアのヘルシア勢、そして、レシィとブロディのイタリア勢は、まず、目の前の光景が理解できなかった

『なんででかい寿司頭に乗っけてふんどしいっちょうなんだよ!?』

初が泣きそうになりながら三人も居るそれにツッこむ。私?お関わりになりたくありません

『軍の衣と書いて褌、軍人がふんどしを履いてなにが悪いかっ!』

『しかしまぁ、ようこそ空母スパルヴィエロ解放日、帝國海軍航空隊主催の漢寿司おとこずしへ』

うむ、まったくわからない

『あぁ、すまないが、お茶を持ってきてくれないか?玖部大佐が苦しそうだ』

口いっぱいに山葵はひでぇ

『馬鹿め!あがりとは、一人前の寿司を食べ終えてからいただく神聖なもの、貴様らにも仕置きが必要なようだな』

『おい、あまり悪ふざけがすぎると』

ぬ、取り囲まれた!?

『われら、河童巻き三人衆』

『たかがきゅうりとあなどるなかれ!』

『味噌でもおいしく召し上がれます』



とうっ、と、エコー音がつくような跳躍で頭に大きな寿司乗っけて、ふんどしいっちょうの男たちが飛んでくる

『あわわわわ!』

『やむをえん!応戦しろぉ!』



野郎ども近接格闘中・・・



『あ、味噌結構イケるわね』

動じないなぁ、レシィさん

『とりあえず中に入ろう。解放日となれば、ジュース類があるとおもう・・・ぜ?』

気付いたら艦底の機関部に居た。何言ってるかわからないだろうが(以下略

『ここは、文字どおりの鉄火場』

『艦が被雷したならば、否応なく閉鎖、破棄される』

『ここは鉄火宮、よくぞこられた。命を捨てるも、拾うも一時が賭け』

えっと、割とマシな事しゃべってるけど、きゅうりとかわらず、ふんどしだけで頭に鉄火巻きを乗せている変態さんです

『次の相手は我らてっか!』


『すべてを使うに我らは必須』

『まぁぶっちゃけ、あまりものを寄せ集めたんだけどね』

頭が痛くなってきた

『初、俺はあまり体術は上手くないぞ』

『そのかわり兄貴は戦い方がえげつないじゃないか』

『あの、私なんて技術者なんですが』



野郎ども近接格闘中・・・



『あまりものにしちゃ美味いな、これ』

エミリアさん。食べなくていいんですよ、それ



『倒すごとに階が上がるのか・・・』

ここは・・・おそらく機関室上のクアルトポンテ(第四甲板)だ


『ねばねば』

『な、なんや?この匂い』

くんくんとフィリネが嗅いだことのない異質匂いに顔をしかめる

『腐ってるな』

『ああ、腐ってる』

現れたそいつらに、鼻をつまみながら日本人二人

『く、腐ってなぞいない!』

『我らは発酵しているのだ!』

そう、次の相手は納豆巻だった

『手早く処分しよう』

『おい、話を聞かねば!』



野郎ども近接格闘中・・・



『ひゃあっ、なんか粘っこいのが!』

びゅるっと

『さすが兄貴の嫁、わっふる担当というのが』

『少し、頭を冷やそうか、初』




初、ふるぼっこ中



『頭は冷えたか?』

『あの、冷えるどころか、腫れあがって熱いんですが・・・いえ、血は抜かなくてけっこうです』

まったく。次は、テルツォポンテ(第三甲板)空母では、医療区画や食堂が置かれている

『しっかし海苔巻きばっかりだったなぁ』

まぁ、航空食といえば、手につかないよう海苔巻きが一般的である

『これが寿司ではないのですか?』

『いや、一般的にこんな寿司なんてありませんよ。いや、あってたまるか』

行くなら行くで、フィリネにはちゃんとしたところに・・・

『よくぞ巻き物三種を突破した。ここは海老宮。敗北した奴らには悪いが、奴らと我々を較べるならば、奴らは青銅で、我らは黄金だ。ここからはサシで戦わせてもらうエビ!』

変態どもめ、まだ湧いて出るか!


『初、ブロディさん。囲んでお願いします』

『ちょ、ちょっと待て!正々堂々』

初が首を横にふる

『わりぃな、兄貴こういう時容赦ねぇんだよ。あ、エビはありがたく俺が食ってやるよ』



野郎ども近接格闘中・・・



『なぁフィリネ・・・』

『なんや?エミリアはん』

ぼっこぼこにされる海老を見つつ、エミリアはフィリネに呟く

『適当に水を確保して降りれば良いんじゃないのか?』

『・・・せやな』

もっともな意見である

『ま、男どもなんてそんなものよ』

レシィはクスクス笑う。しかし止めない。おい、ツッコミ不在か!



『おお!』

次の舞台となるセコンドポンテ(第二甲板)は、空母の中心である格納庫の下で、CICなどの電子装備区画が設置されている。弾薬庫や機関室よりも上なのは艦の運用に支障がないという事がわかる。戦艦だと、主砲の管制機器などは弾薬庫や機関室と同じく底部にあるので、重要性はそれらと同じくらいと言える。空母はそれ単体が戦うことはまずないので、優先度は下がる、そういう事だろう

『なんやこれ?すごいなぁ!』

フィリネが嬉々として計器をのぞきこんでいる。微笑ましい

『ふぅむ、これで艦からは指示するのか』

『みたいね、水性ペンでほら』

スクリーンにレシィがエミリアに見せながら書いている

『書いたものが消せるのか!?いや、すごいな』

『貴女も初もずっとパイロットやるってわけじゃないでしょ?管制に関する勉強も一つの手よ?』

こちらもこちらで微笑ましい

『おいおい、泣くなって』

『良いことありますから、きっと』

そしてあまりものの男二人は、あらわれたにも関わらず、ガン無視されていたアナゴ寿司を慰めていた

『ふむ、これはなかなか・・・電子機器のところでタレを振りまくのはまずかろう』

『アッー!我らの象徴たる寿司がぁああっ!?』

まぁ、頭に乗っけてても寿司は寿司だ

『忘れてたぜ、兄貴はアナゴが大好物だった』

『そういうもんだいか?』



かぶりつくようにCICを見ていたフィリネ達を引き離して、階を登る

『ん?誰もいないな』

『お、兄貴、ここが玖部大佐の階だったみたいだぜ』

初が打ち棄てられたウニの軍艦巻きを発見する

『あ、これってもしかせんとも、空母運用されてる烈風やな?』

『そうね』

アクィラの初が居た飛行隊が壊滅して義勇航空隊となってしまったが為に、アクィラは烈風のイタリアに於ける初運用飛行隊の座をスパルヴィエロに譲ってしまったわけだが、いずれは我々も、と、特にエミリアは意気込んでいたし、フィリネも整備員として地上基地よりかは空母での勤務を望んでいた。空母はこれまで住んでいたヘルシアと同じ、閉鎖されて制限がある空間だからだ

『これだけのモノを動かすんに、どれだけの技術の集約があるんやろか』

いや、技術者である以上、それはわかっている。末節の特許まで考えたら途方も無い代物であることは

『遠くはないさ』

いつから聞いていたのか、直純が後ろにいた

『そうやな』

そこまで遠くはないのかもしれない。直純はんらと私らに、差なんかあらへん。直純はんがそう言うてくれはる限りは

『けど、時間はかかりそうやなぁ』

フィリネはにやっと笑ってみせて、後ろに立つ直純にもたれかかる

『長い付き合いになるのは承知している』

『そ、か』




『ゴメン、もう無理。リア充爆発しろ!』

『わあっ、駄目ですよレシィさん!ひでぶっ!』

もう我慢できねぇ!と、レシィがバールのようなものを振り回して、ブロディを血祭りに挙げる。おお!ブロディ、死んでしまうとは情けない

『今飲んでるコーヒーがブラックだったのにだだ甘な件』

微笑ましく初は砂糖を吐いている

『・・・初、そのコーヒーはどこから持ってきたんだ?』

『あ?一個置いてあったんで飲んだ、どした?』

・・・玖部大佐の事完全に忘れてるな、これは

『よし、次にあがるぞ!』

エミリアが声を上げる。さっさと終わらせてしまおう



ヒュオッ




飛行甲板にでると、入るときより少々風が出ていた。新鮮な酸素を肺に吸い込む

『しっかし、割と安めの寿司しか出てこねぇな』

かっぱ、鉄火、納豆、えび、あなご。どちらかというとリーズナブルな品揃えだ

『それはどうでもいいが、いちいち階段を登るのはどうかとおもうな、確かに』

これだと、飛行甲板で終わらず、艦橋までいかないといけないかも

『遅かったサーモン、随分な事をしてくれたみたいだなぁ、お歴々』

次はあいつが相手のようだ

『ルールに従わずに集団でタコ殴ったらしいなサーモン!』

『ひょほほほ!ならば、逆にタコ殴られても仕方あるまい』

サーモンの言葉と共に、タコ握りが現れた

『トロ様とガリ握り、玉子は来るぞ。俵は・・・寿司じゃないタコ、だから呼ばなかった』

つまり、残り総勢五人か

『しかし、女の子が多いなぁ〜、おひょ?そこの狐の尻尾さんはおいらの吸盤に興味があるのかな?かな?』

はぁはぁしながらタコがフィリネさんに近付く

『お、おいバカやめろ!』

そいつは死亡フラグだぁっ!と叫ぼうとしたが遅かった

『ひ、ひぃっ・・・』

直純が帯剣していた短刀を、変態さんの頭の上にのっているタコ寿司に突き刺し、そのままブリッジに叩きつけ・・・




ガッガッガッガッ!




装飾つきの鞘で顔面を何度も突きいれる

『死んじまう!死んじまうぞ!』

流石に本気になって止めにかかる

『チャンスは、一度だけだ』

そこで直純は殴るのをやめる

『・・・ふぃ〜』

『フィ、フィリネさん?あれほんっ当に少尉なの!?』

レシィの方が少々動転している。無理もない、ヘタレな姿しか彼女は見ていなかったから

『あー、うん。怒るとあんな感じ』

『うちの家系の男は、多かれ少なかれ狂犬の血筋だから』

ときたまやることがえげつなくなる

『『『・・・(あの人は怒らせないどこ)』』』

それを肝に命じる部外者達だった

『ひょ、ひょほ!タコは余計だったサーモン!』

『寿司の王者たるトロ握りが命じる!えっちなのはだめである!』

流石にあんな目には会いたくない、変態どもも流石に腰が引けている

『あっはっは!そろそろこの玉子の出番かな?あら?』


『フゥーハハハハ!貴様等にはガリを呉れてやるわ!』

・・・空気詠み人知らずにも程がありすぎる。二人があらわれた。誰もが凍り付く

『に、逃げろ!今はまずい!』

『は、ハハッ!いくらなんでも私たち全員でかかれば・・・!バァァニング!ミーのコスモ!』

あーあ、ついに言っちゃいましたよこの人

『わがんね"ぇよぅ、まともにしゃべれねぇ奴は死ねよぅ』

レシィとブロディが十字を切り、フィリネとエミリアは祈りを捧げた

『ぎゃああああああああ!!!』




結局のところ、甲板にいた寿司男四人は、仲良く四本のカタパルトに並べられ、蒸気の放出と共に星になって消えた。今でも兄貴がその時に言った言葉が忘れられない

『ポン6だ、ありがたく冥府への六紋銭として使えよ』

ポン6は水上機をカタパルト射出していた時の名残で、イタリア海軍も導入したものだ。カタパルトで打ち出されると六円の加棒がつく。実際身体に急なGがかかるので、それじたいは良いのだが、そんな六紋銭の言い方はねぇべ

『楽しかったですか?』

『ん、まあまあやな』

『価値のあるものは見れたんじゃないかな』

天然のヘルシア組二人は平然としているが、ブロディとレシィは兄貴が話し掛けるたびにあとずさっている

。無理もない

解放日自体はその後、何事もなく開催され、日本食ブースは出てこなかった俵寿司の人が

『ぶっちゃけ、お酢とか苦手なんで・・・お寿司のお皿のうえに居るなんておこがましいですし、お弁当箱の隅にいるのがお似合いですよね』

とまぁ謙虚な人で、他の寿司が無くなった事に嘆息しつつ、ネタがもったいないから、と、おにぎりの具材として活用したところこれが大受けし、弁当ブームをイタリアに呼び込むのだが、それはまた別の話である

『そういえば、何かを忘れているような・・・』

急に直純が立ち止まって呟く

『なんかあったっけ?』

『あ・・・玖部大佐』

全員がその名前を忘れていた

『『『あーっ!!!』』』





『ひゃ、ひゃれか、ふぁのちゅぼを(だ、誰かあの壺を)・・・ガクッ』

大日本帝國海軍駐伊武官玖部間大佐、戦(?)死

『・・・!!!(か、かってに殺すなー)』

『まぁ良いじゃないですか、忙中閑ありってやつぞな』

陸軍の百目鬼大佐が倒れている玖部のそばで笑う。かつてのカレー百人衆を継ぐもの、寿司ではやはり物足りなかったか・・・次の手を考えよう。あぁ、楽しみだ



さぁ は じ め よ う か



続・・・かない

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