8話
「よぅ慧太、紗希は?今一人なの?」
「んー?明日香か、まぁな。紗希の奴、先に帰って寝るって言ってさ」
夕暮れの交差点、赤く光るそれを青に変わるのを待っていた俺は一人の女の子に声を掛けられた。
で?何か用?俺がそう言うと彼女は少し恥ずかしそうに、少し……付き合ってくれよ。とそう言った。
「え?何?最後のところが上手く聞き取れなかったんだけど」
「……あぁーもう、ちょっと来い!」
「ちょっとって何?!」
明日香にガシッとガッチリ腕を掴まれ強引に引っ張られていった。
今日見たいテレビあるんだけどなー……ドラマの再放送見たいんだけどなぁ。まぁ、そんなこと言えないけどね。
◆
明日香は気づいてないだろうけど俺って今結構もつれ足で歩いてるんだよね……。
少し機嫌を損ねた彼女に連れられやってきたのは……。
カランカランとドアに設置された鈴の音が俺たちが来た事を知らせる。
いらっしゃいませ、お二人様でしょうか?ウエイトレスが人数の確認を終えるとこちらにどうぞと俺たちを席に誘導した。お気づきだろうか、俺はとある喫茶店に連れてこられたようだ。
そして席に座り、ドリンク片手に話が始まった。
なあ、慧太。明日香が話を切り出してきた。何?明日香。そう言うと明日香は
「あたしの彼氏の事なんだけどさ……」
と下を向いてそう言った。何か言いづらそうに見える、俺は首をかしげて伝えたい内容を推測する。
「あぁ、アレね。今大変なことになってるよなー」
多分アレの事であってると思うんだけど、どうだろう。
「そう、それでさ、あのままじゃダメだと思うんだよ」
おお、俺の推測当たってた。
「そうだな、流石にかわいそうだもんな綾太の奴」
◆
ここに二人、未だ活動報告が出来ずにいる部長、副部長が居た。
「スクープねぇかなー?どっかに転がってないのか?」
「スクープ転がってたなら部長の場合蹴っ飛ばしちゃうって」
「な、どういう意味だそれ」
大山蒼輔は今年の春、3年が卒業した後新しく部長として活動し始めた。
とはいえその年2年は蒼輔と朱音の二人だったためジャンケンで勝った方が部長か副部長のどちらかを選んだらしい。ちなみに勝ったのは朱音、部長メンドイからあたし副部長決定ね~とのこと。
ぶっちゃけ去年の部長は学校一の美人で新聞部には彼女と同じクラスはもちろん、その隣のクラスやら男子女子問わず3年の部員がたくさんいた。何故1年と2年は入部しなかったのか?それは3年の先輩が怖いからだ。
「それにしても部長、流石にそろそろ新聞出さないとマズくない?」
そうだよなー、こう、何かスクープさえあればなぁ……。
蒼輔がそう呟いていると朱音がふふふ、と笑い始めた。
「あっはっは、部長~スクープ……見つけたかもしれませんよ?」
それを聞いて蒼輔は、ん?と朱音の方に顔を向けた。
そして朱音はこれだよ!と言いながら一枚の紙を机に叩きつけ、蒼輔が興味津々にそれを見た。
「我が校周辺で怪しい男出現……?あれ?俺こいつ見たことあるかも」
「ウソ?!何処で?何処で見たの!?」
電柱でコソコソしてた奴だろうか……。確かにアイツは怪しい。
そっか、アレはスクープだったんだな……って俺そのスクープ見逃したって事じゃねーか、ちくしょー朱音に先を越されちまった。
「部長が知ってるなら話は早いね、実はこの男さぁセクハラの容疑があるんだよね~」
「はっ?、セクハラだと!?あいつ……!」
◆
そのアイツは高校の近く、高校とは少し高い所に位置している、ちょうど木が覆い茂っている場所に潜んでいた。
「今日も可愛かったなぁ……明日も来よーっと」
この変態は、あぁいや、それじゃ変態に失礼か……では、この不審者、何をしているのかと言うと既にターゲット《紗希》がいなくなったため自分も家に帰ろうと数分前から自宅へと歩いていた。
木が覆い茂っているとだけあって少し歩きづらそうだった。
しばらく歩いていると覆い茂っているゾーンからの脱出に成功、ここからは一般道路なので問題は無くなった。
そしてふぅ、と一安心した時、事態は一変する。
ようやく抜けれたと、安心したとき。目の前に立ちはだかる人物が現れた。
「アンタ、ウザいんだけど……あたしに付きまとわないでくれない?」
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