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私を救ってくれた少女の話

作者: 小雨川蛙

 

 おずおずとした様子で座る少女に向き合い私は語りだす。

 かつて、私を救ってくれた娘の話を。



 ***



 その娘は心優しい人間だった。

 姿形の違う私にも優しくしてくれた。


 仲間外れにされた私を仲間に入れてくれた。

 虐められた私をかばってくれた。

 私を必死に守ってくれた。


 それでも追放された私を探し出してくれた。

 泣き続ける私の背を撫でてくれた。


 死にたくない。

 死にたくないと。

 そう泣き続ける私へ問うてくれた。


『どうすればいい』


 私は告げた。

 してほしいことを。

 ――だから、私は今も生きている。



 ***


「オマエ オナジ ダ」


 大きく口を開いた私に座っていた少女はびくりと震えて逃げようとする。

 しかし、かつてここに居た少女と同じく私の楔で身動きが取れない。


「アリガトウ」


 大泣きをしていた。

 あの娘と同じく。


「ゴチソウサマ」


 満たされたままに私は呟く。

 いつの時代にも心優しい者はいる。


 自らの身を差し出すなんて――。


「アリガトウ」


 呟き、私は洞穴で眠りについた。

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― 新着の感想 ―
 本当に被害を受けている者ほど被害を口にしないのは何故なのか、それは被害者面で同情を誘うこの手の輩が、被害者に手を差し伸べようとする優しい者達を喰らい尽くしてしまうから。  感覚的には普段から現実でよ…
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