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ソウルウォーク★魔都  作者: 神嘗 歪
二章:チートな 創造主 と 雪人たちのゲーム前の予習
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二章:22 「………違うよ、白檀。これは『今じゃない』。『未来からの宣戦布告』だ…。」

白檀の顔を見ると、まだ納得いっていないと判る…。けれど明星は「それより…」と、次の話の結び目を開いた。


「例の『駅の中の迷い子』は、まだ捕まってないようたね。V Rゲームの方の【ソウルウォーク★魔都】内でも噂になっているよ。」


「………そうか。」


眼鏡の奥のグリーンゴールドの瞳を、コップのなかの酒の波紋に落としたまま、新しい話題に素っ気ない白檀。その前の話題の件を、まだ根に持っているのか?


「反応薄いなーぁっ。白檀にとってはあそこの駅は『大事な場所』でしょ? なんなら白檀が行って、パッパーァと片付けて来ちゃってもいいんだよ?」


「…俺が行って捕まるとは限らねぇよ。『アイツ』は能力は強くはないが、逃げ足だけは速い。本気で隠れられたら、俺でも見つけるのは至難の技だ。それに…。」


ここで白檀はコップの日本酒を煽る。


「…その案件は『優先順位』が低い。俺が出るほどじゃない。」


酒気をはらんだ口でそう言うと、空になったコップをテーブルに置いた。


白檀が言った『優先順位』には定義がある。


簡単に説明すると、その魑魅魍魎が引き起こす事件による損害の度合いだ。その中には、巻き込まれる被害者人数も含まれる。


一人しかいない最強の宮使い陰陽師と、それに付き従う式神の白檀。二人は正義のヒーローではなく、しがない公務員だ。だから効率が優先となる。


最小人数で最大成果を得るなら、これは至極当然の選択だ。


そしてその『駅の中の迷い子』は特質した案件ではあるものの、被害者人数は『まだ』両手で数えぐらい。


魑魅魍魎の案件のなかでは………底辺に近いランクだ。


「そう…。まあ、白檀がいいって言うなら、別に構わないけどね。」


そう言うと明星も、酒が残り少なくなったコップをテーブルに置く。


すると…。



          …ビシッ!



いきなり、コップの縁にヒビが入り…。



  「ッ!」



…少量の酒の水面に……一瞬『黒い星が二つ』映ったかと思うと…



      パリンッッ!!



…コップが割れて四散したッ。


その破片の一つが明星の頬をかすめ、時間差で…ジワと赤い線のように血が滲む。


「明星ッ!?」


目の前の突発的な出来事に驚く白檀だが、何かからの襲撃を考え、すぐに周囲を警戒するッ。


だが明星は………まるで『吉凶を占うがごとく』見開いた目で割れたコップを見る。そして…。



「………違うよ、白檀。これは『今じゃない』。『未来からの宣戦布告』だ…。」



…と呟いた。


「明星ッ?!何を言って…ッ!?」


白檀がそう言いかけた途中で、周囲の異変に気づく。


店内にいた他の客が派手なコップの割れた音に驚き、一斉に明星たちを凝視している。


見れば、割れたコップからこぼれた酒でテーブルの上でなぞった円が消え、簡易的な結界が壊れてしまったようだ。


こうなってしまっては下手な言動・行動はできない。


チッと舌打ちをする白檀。だが明星は、周りなど気にする様子もなく…………これから起きる楽しい『予感』に嗤っていた……。








          ★☆★

 

 

 

 


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