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ソウルウォーク★魔都  作者: 神嘗 歪
一章:どうやら俺は、『巻き込まれ体質』のようで…。
15/46

一章:11 「…教えない。」

そんな雪人の脳裏に、体育館裏の件があった後の記憶が甦る。


 ……………………


 ……………


 ……




「君は、刀夜に関わるべきではないよ。」



放課後の人気のない廊下。


呼び止められて振り向いた雪人に、飛んできた第一声がそれだった。


見れば、廊下の真ん中で腕組みをし、仁王立ちをしている桜塚会長がそこにいった。


普通の生徒なら桜塚会長に話しかけられただけで舞い上がってしまうだろうが、そこは雪人、藪から棒過ぎて思わず相手が女子でも「はぁッ?」と眉間にシワを寄せて睨んでしまった。


だが男子に睨まれても、桜塚会長はまったく怖じ気づく様子はない。それどころか、反対に歩み寄りながら睨み返してきた。


美人同士でのこういうのは、なかなかの凄みがある。


「君と一緒にいると、刀夜の評判もどんどん下がってしまうんだよ。だから、君から刀夜と距離をおいてくれないか?」


桜塚会長の声は荒げるでもなく落ち着きをはらっているが、雪人に向けて明らかに侮蔑の色がみえた。


「そんなこと、アンタに言われる筋合いないと思うけどッ。刀夜のオカンかよッ。」


「オ力ッ…!私はそんな歳ではないッ!」


冷静な会長の顔が、一瞬年相応に憮然と赤くなる。


「そりゃあ、見りゃあ解るよ。」


雪人は冷たく突っ返すと、元の方向に向き直して歩き出した。


こういう手合いは、頑として自分の意見を通してくる。そして雪人本人も、そういう手合いだ。たぶん、いつまで言い合っても二人の意見は平行線だろう。


それに雪人も、桜塚会長と刀夜が親しくしているのは知っている。自分よりも長い付き合いだってことも…。


たがらこれでも考慮して雪人的に感情をセーブし、早々に身を引いた。


これがまったく関係無い男なら、ぶっ飛ばしているところだ。


「待ちなさいッ。山田 雪人ッ。」


桜塚会長のその声を無視して、雪人は廊下を進む。背中には、階段に消えるまでずっと桜塚会長の視線が突き刺さっていた……。



 ……


 ……………


 …………………………


(……あんなことがありゃあ、少なくともあっちは『そういうこと』なんだと解るよなーぁ。)


雪人は刀夜を無言のままジッと見る。


(だからってこの鈍感に、そのことを教えてやるのは…。)


頭のなかに、またあのときの桜塚会長の顔が浮かぶ。


(………あの会長のキューピッドになるみたいでシャクだな…。)


刀夜は雪人のガン見に「ッ???」と、どんどん疑問符が飛ぶ。


急にフイッと回れ右した雪人は、「…教えない。」と一言残し、またプールサイドをスタスタと歩き出した。


残された刀夜は、更に頭の上に疑問符を乱舞させていった。








          ☆★☆

 

 

 


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